半田市、常滑市、知多市で弁護士をお探しなら弁護士法人半田みなと法律事務所「お知らせ・コラム」ページ

MENU CLOSE

お知らせ・コラム

Column

カテゴリ

Category
2022.05.17 刑事事件企業法務

会社が横領被害にあったときの対応

会社が横領被害にあったときの対応

横領とは

横領とは、自らが占有している他人の物を不法に取得し、無断であたかも自分の物かのごとく使用したり売却したりする犯罪のことをいいます。

事実関係の調査

「従業員が、どうやら横領を行っているらしい…」このような疑いを抱いたときは、すぐにその従業員の解雇や刑事告訴に着手してはいけません。横領被害が発覚した初期段階においては、ある従業員が横領を行っているようだが確たる証拠がない場合や、横領されていることは間違いないが、その方法や金額などの詳細がわからないといった場合がほとんどです。横領が発覚した際は、まず、誰が、どのような方法で、どれくらいの金額の横領を行ったかを明らかにするため、証拠の収集と事実関係の調査を行うことが必要です。
被害を受けた会社が,横領を行った従業員に対して取り得る手段については様々ですが、いずれの手段を取る場合であってもしっかりと証拠を集め、その証拠を精査し、横領の方法や被害金額を特定しなければなりません。証拠が不十分なままでは具体的な請求をすることができません。何らかの手段に踏み切ってしまう前に、まずは横領の有無と被害金額を確定するための調査を迅速に行うべきです。

関係者に対する聴取

横領被害に関する証拠の収集、事実関係の調査が進んだら、横領をしたと疑われている従業員だけでなく、当該従業員の上司や部下、同僚、その周辺の事情を知っている可能性がある従業員など、関係者に対してのヒアリングを行う必要があります。
同僚や関係者からヒアリングをする際は、無計画にヒアリングを行うと、実は横領行為をした従業員と繋がっていて、調査していることがバレてしまい、証拠を隠されてしまう可能性があるので、人選や調査の順序は慎重に検討しましょう。また、横領をしたと疑われる従業員本人からのヒアリングを行う際は、横領・着服の事実などを認めさせることを第一の目標に行い、警戒されて証拠を隠されたり、聞き取り調査に応じない可能性もあるので、ヒアリングの事前の予告はせずに呼び出し、そのまま聞き取りを始めてしまうのがよいでしょう。ヒアリングの際は、従業員の言い分を全て聞き、聞き取った内容はしっかりと記録します。ボイスレコーダーなどで録音しておくこともよいでしょう。

本人が横領の事実を認めない場合

仮に従業員が横領の事実を否定したとしても、これまでに集めた証拠と記録された本人の言い分から矛盾点が見えてくることもあります。このような矛盾点を突くことで、最終的には横領の事実を認めることがあります。従業員が素直に罪を認めそうにない場合には、弁護士など第三者に立ち会ってもらうとよいでしょう。

本人が横領の事実を認めている場合

従業員が横領したことを素直に認めている場合でも、あとで言い分をひっくり返される場合もあります。そこで、横領を認めている場合でも、横領した事実、いつ、どこで、何を横領したか、横領した金銭や物品を返還する意思があるかなどを聴取し、その内容を正確に記録しておきましょう。

横領が事実であった場合

調査の結果、従業員による横領の証拠が揃い、事実が明らかになったら、①損害賠償請求、➁解雇、➂刑事告訴という3つの対応が考えられます。

損害賠償請求

横領被害にあった会社は,犯人である従業員に対して,横領によって生じた損害について民事上の損害賠償請求を行うことができます。具体的には、横領されたお金の支払いや、物品の返還、物品が存在しない場合にはその物品の価額の賠償を求めることになります。しかし、賠償請求をしようと思っても、横領行為から時間が経っていることが多く、従業員が既に横領した金銭を使い切っている場合もあり、不動産などの金銭的価値のある資産を持っておらず、賠償するのに十分な資産がないことも少なくありません。裁判をする場合には、以上のようなリスクを念頭においた上で訴えを起こし、被告となる従業員に資産がない場合は、和解手続の中で分割払いの取決めをして少しずつ回収していくことが現実的な解決になると思われます。

解雇

従業員による横領が発覚した場合,一般的には,当該従業員を雇用し続けることはできないと考えるでしょう。従業員との雇用契約を解消する方法は,懲戒解雇,普通解雇,自主退職を求めるなど複数存在しますが、横領を行った従業員であっても,会社側がなんの制限もなく自由に処分を決めることができるわけではありません。横領の犯人だからといって,根拠なく解雇したり,横領発覚後の給与の支払いを拒んだりすれば,逆に,解雇自体の有効性を争われたり,未払い賃金の支払いを求めて訴訟を起こされるというリスクも存在します。
就業規則の解雇事由や懲戒解雇事由に「横領」や「着服」、「職務上の非違行為」といった記載があれば、その規定に基づいて、横領を働いた従業員を解雇することができます。そのため、就業規則を策定する段階で,会社が従業員による横領被害にあった場合,従業員に対する処分を滞りなく行えるような内容の就業規則を作成するということが重要になります。

刑事告訴

横領被害にあった会社は,犯人を刑事告訴することができます。刑事告訴とは,自身が受けた犯罪被害について,警察などの捜査機関に申告し,加害者の処罰を求めることを言います。業務として会社から預かっている金銭や物品を費消したり、売却したり、人に贈与したりすると、刑法が定める「業務上横領罪」に該当し、10年以下の懲役が科せられます。

半田みなと法律事務所では、横領、横領の疑いに関してのご相談を受けております。早期対応をおすすめします。