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2023.04.14 離婚・男女問題

事実婚と法律婚

事実婚と法律婚

事実婚とは

事実婚とは、婚姻の届け出をしていないため法律上の夫婦とは認められないものの、社会生活を送る上で事実上夫婦同然の生活をすることです。内縁関係ともいわれます。
法律上の夫婦となることによる様々な規律から自由でありたい、自分たちの関係性を自由にデザインしたいという意識のもと、あえて結婚せずに事実婚を選択するということもあります。法律婚か事実婚か、いずかの関係が望ましいかについては、その法的な取り扱いの違いを考えることが大切です。
事実婚の解消は、一方の事実婚解消の意思表示と事実上の関係の廃止(別居)によって成立します。関係解消がたとえ一方的であったとしても、相手は同居請求を行うことができません。関係の不当破棄による慰謝料の請求や、財産分与を求めるほかありません。

事実婚では認められないこと

法律婚の場合にのみ認められる制度もあるため、その制度を利用したい場合は、事実婚ではなく、法律婚を選択すべきです。

  1. 事実婚では、夫婦同姓は認められません。姓は別となり、戸籍も別々になります。子が父の姓を名乗るためには、家庭裁判所による子の姓変更の審判を得ることが必要です。法律婚では、現在も夫婦別姓は認められていないので、別姓であることを重視する場合は、事実婚を選ぶメリットになります。
  2. 共同親権は認められておらず、親権者は母、単独となります(子は母の戸籍に入る)。父は、父母の話し合いにより子の親権者を父と定めない限り、親権者となることはできません。
  3. 婚姻関係にないパートナーには、配偶者相続権が認められていません。そのため自分の死後、パートナーに財産を残したい場合には、生前に契約・遺言・信託の法的手続きをしておく必要があります。

事実婚での法的効果

まず、法律婚では、主として以下のような法的効果が発生します。

  • 貞操義務
  • 重婚禁止
  • 共同親権
  • 配偶者相続権
  • 婚姻費用分担義務
  • 財産分与 など

婚姻届けを出していないからといって、それだけで婚姻にまつわる様々な規律から自由になるというわけでありません。どのような法的効果が生じるかは、問題となる具体的な事項ごとに異なりますが、同居・家計の共同性の有無、社会・周囲の承認の有無などによって判断されます。

事実婚契約書

事実婚をするときに法定の手続きは存在しないため、事実婚の契約書を作成する場合にも明確な決まりはありません。事実婚として共同生活を始めるにあたり、二人で確認しておくべき事項を契約書として作成することになります。ただし、夫婦としての法律で保護を受ける(法律婚で対象となる保護を受ける)ためには、法律上の考えに沿った夫婦の形であることが求められます。考慮すべき法的効果として主要なものは以下の通りです。

  • 貞操義務(不貞慰謝料)
  • 婚姻費用
  • 養育費
  • 帰属不明の財産の共有推定
  • 財産分与 など

事実婚関係に法律婚と同様の法的効果が生じるかどうかは具体的な事情次第で異なるため、あらかじめその内容を明確にしておくことが重要です。これは、法律婚と同様の法的効果が「生じるか」「生じないか」「生じるとしてどのような内容となるか」という重大な問題が、最終的には裁判所によって決められてしまうということを意味しています。裁判所の判断が、自分にとって必ずしも期待した結果になるとは限りません。そこで、法律婚ではなく事実婚を選択する場合には、事実婚契約を結ぶことが重要といえます。