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Category尊厳死宣言書と埋葬方法
尊厳死とは
尊厳死とは、人間が人間として尊厳を保って死に臨むことをいいますが、医学的には、一般に回復見込みのない末期状態の患者に対し、生命維持治療を差し控え又は、中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいいます。(積極的な医療行為により、患者の死期を早める「安楽死」とは異なります。)個人の意識が正常の間に「尊厳死宣言」によって、自ら尊厳死を選択することができます。これは、自己の人生の在り方は、自らが決定することができるという自己決定権に基づくものです。近年では、延命措置として、人工呼吸器の他にも、胃にチューブで直接栄養を送る「胃ろう」を作ることも、本人の意思に反する場合もあると問題視されています。尊厳死宣言書は、当事者が尊厳死宣言書を作成する方法と、公正証書による方法があります。前者は、当事者が個人的に尊厳死宣言書を作成し署名押印したものを、家族等が保管し、その意思を確認しつつ、必要が生じた場合に、担当医師に提出することになります。後者は、当事者が公証人の前でその宣言内容を話し、これを公証人が記録し作成する方法です。
埋葬方法の多様化
近年では、少子化・核家族化が進み、身寄りのない単身者や子どものいない夫婦では永代供養が困難であったり、子どもがいても遠隔地で暮らしているために、墓地の管理の継承を依頼することが困難であるケースが増えてきています。そのような中で、「墓じまい」、「改葬」、「永代供養墓」、「自然葬」、「手元供養」、「ゼロ葬」などが注目されています。「墓じまい」とは、お墓の継承者がいないなどの理由で、お墓を解体・撤去してその使用権を寺院に返還することを、「改葬」とは、お墓の継承者が遠方のお墓を墓じまいして、自宅近隣に遺骨を移すことをいいます。「永代供養墓」は、遺骨を共同のお墓や納骨堂に納め、寺院にその供養と管理をやってもらうものです。少子化や過疎化から無縁墓になるのを防いだり、また、子孫に負担をかけないようにするために、最近注目されています。
「自然葬」には、他にも樹木葬、宇宙葬などがあります。樹木葬は、遺骨を土の中に埋め、その上に樹木を植える埋葬方法のことで、宇宙葬は、人工衛星に遺骨をカプセルに入れて搭載して宇宙に打ち上げ、地球の軌道を一定期間まわり、最終的に大気圏に突入させ、遺骨を燃え尽きさせる方法のことをいいます。「手元供養」とは、個人の遺灰や形見を身近において供養することいいます。例えば、ペンダントや小さな容器に故人の遺灰や髪の毛等を収め、身に着けたり、自宅に置いたりして、故人との絆をいつも感じながら供養することができる利点があります。「ゼロ葬」とは、火葬後に火葬場から遺骨を一切受け取らないで、そのまま帰ることをいいます。関東以北の火葬場では、遺骨を全て骨壺に収める全骨納骨を行っており、ゼロ葬を受け入れていないようですが、関西以西では、ゼロ葬を受け入れているところが多いようです。ゼロ葬は、納骨自体を行わないことで墓を作らず、散骨等も不要となります。このように、埋葬方法は多様化していますが、本人が望む埋葬方法がある場合、生前に家族や親族に対し、その旨を明確に伝えておく必要があります。前半に示した、尊厳死宣言書は、自らの死に対しどのように臨むかの意思表示ですが、これに死後の埋葬方法を記すことも可能です。埋葬方法に関しては、遺言書に記す方法もありますが、死後すぐに遺言書が見つからず、その内容が確認されないまま、望まない形での埋葬になってしまう恐れがあるため、注意が必要です。半田みなと法律事務所では、遺言書だけでなく、尊厳死宣言書についてのご相談もさせていただいております。お気軽にお問合せください。