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2023.03.02 インターネット問題

インターネットにおける著作権

インターネットにおける著作権

インターネットにおける著作権にういて解説いたします。

SNSでの著作物の利用

SNSにおいてはインターネットを通じてコミュニケーションがとられることから、その過程において他人の著作物が使用される場合、まず当該著作物の著作者に求められる権利のうちの1つである公衆送信権を侵害しないかが問題となります。著作権法上「公衆」には不特定の者だけでなく特定かつ多数の者を含むとされています。グループ内で著作物を発信する場合、著作者の公衆送信権を侵害することがないとしても、他人の絵画や小説などを著作者などの許諾を得ることなく掲載することは、原則として著作者の複製権の侵害行為となります。

著作権法では「著作物を個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的使用)」は、著作権者等の許諾なくして使用することはできると定められています。「個人的」な利用とは、多くの意味がありますが、一般的に複製物を個人の趣味や教養のために使用することを指し、その使用目的が職業や何らかの事業に結びつく場合には個人的とは言わないものと考えられます。SNSは一般的に閉鎖的なコミュニティを構成し、そこで掲載される記事などの内容は個人の趣味などであることが通常といえるため、SNSでの使用目的は「個人的」といえるでしょう。次に「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」とは、一般に「家庭内」とは同一家計で同居している人間関係をいい、「準ずる限られた範囲内」とはメンバー相互の間に強い個人的結合関係があることをいいます。これに関しては、閲覧できる者が、投稿者が明示的に承認した者のみというように限定されていれば、その閲覧可能な者のみで構成されるコミュニティには相応の個人的結合関係が認められると言えるかもしれません。
SNSにおいてグループ内での他人の著作物の使用については、使用目的として、著作権者等の公衆送信権も複製権も侵害しないということになると思われます。

歌詞の引用

歌詞は著作権法上、楽曲と一体の音楽の著作物として、もしくは歌詞だけが取り出された場合には言語の著作物として保護されます。歌詞をブログに掲載するには著作権者の許諾が必要となるのが原則です。著作権者と個々に交渉することは困難ことから、一括して著作権の管理を行っている、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に申請をして許諾を得ることになります。
著作権法では、「公表された著作物は、引用して使用することができる」として、一定の範囲内での著作権者の許諾を得ることが不要な場合を定めていますが、この「引用」と言える場合には、著作権者の許諾なく、ブログに掲載することが可能です。「その引用は、公正な慣行に一致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」としていて、「公正な慣行」に従った「正当な範囲内」で行われる限り、著作権者の許諾なく掲載することが可能ということになります。

記事の転載

新聞記事は、著作権にあたると考えられています。「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に当たらないことを規定していますが、これは新聞の記事全般を指すのではなく、人事異動記事や死亡記事のように、誰が書いても同じになるような事実に忠実な報道のことを意味し、通常の記事は、著作者の思想又は感情が表現されている著作物であるとする考え方が一般的です。利用に当たっては、原則として出所の明示をする必要があることも歌詞の掲載の場合と同様です。

ブログなどへの書き込み文の利用

ブログの書き込み欄など、来訪者が匿名で書き込みをすることができる掲示板やサイトが数多く存在します。書き込み文については、投稿者に著作権が帰属するのが原則で、書き込み文を無断で利用すれば、投稿者の著作権を侵害するということになります。著作権侵害とならないようにするためには、ブログ内に規約を定め、書き込み欄に投稿された書き込みについて、ブログ管理者に著作権を譲渡する旨を規定する必要があります。その際には、翻案権、二次的著作物の利用に関する原著作権者の権利も譲渡される旨の規定や、著作者人格権不行使特約についても規定しておくことが望ましいでしょう。そして、それらの規定を、投稿者にとって見やすい位置、大きさで掲載して、投稿者に対して事前に承諾を得ておくなどの工夫が必要で、利用規約の存在及び内容について否定されないように、投稿者にとって分かりやすく表示することが大切です。

半田みなと法律事務所では、インターネット著作権についてのご相談をお受けしております。お気軽にご連絡くださいませ。