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2023.12.27 労働問題(個人)企業法務労働問題(法人)

フレックスタイム制

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは

一定の期間内に一定の時間数労働することを前提として、各日の始業・就業時刻、すなわち各日の労働時間の長さの決定を労働者に委ねる制度を、フレックスタイム制といいます。この制度の適用が認められた場合、一定期間(清算期間として定められた期間)の平均で、週の労働時間が週の法定労働時間内に収まっていれば、ある日又ある週の労働時間が法定労働時間を超えていても労基法32条違反とはならず、その限りで割増賃金の支払いを免れることになります。ただし、深夜労働及び休日労働に対する割増賃金支払制度は免れることはできません。
変形労働時間制と同様に、フレックスタイム制も弾力的な労働時間の調整を可能にすることで労働者の総労働時間の短縮を目的としています。また異なる点は、変形労働時間制が使用者側の事業経営上の必要に応じた労働時間の調整を可能とする制度であるのに対し、フレックスタイム制は、労働者が自己の都合に合わせて始業・終業時刻を自ら決定して労働時間の調整を行う制度であるという点です。なお、フレックスタイム制においては始業・終業時刻の決定を労働者に委ねるものでありますが、この制度を実施することが使用者の労働時間把握義務を免れさせるものではなく、使用者は、フレックスタイム制を実施する事業場においても各労働者の各日の労働時間を把握する必要があります。

フレックスタイム制を実施するための必要な条件

フレックスタイム制を実施するためには、以下のような条件が必要となります。

  • 就業規則その他これに準ずるものにより、始業・終業時刻を当該労働者の決定に委ねる旨を定めること。
  • 当該事業場の過半数組合と、過半数組合がない場合は過半数代表者との間で、書面による協定により、対象労働者の範囲、1か月以内の清算期間、清算期間における総労働時間、その他の事項を定めること。

また、清算期間の起算日、清算期間における総労働時間は、法定労働時間である週40時間の総枠の範囲内に収まらなければなりません。

所定の総労働時間の増減

一つの清算期間内で予定されていた労働時間と実際の労働時間とが異なった場合、その過不足分を次の清算期間に繰り越して、所定の総労働時間を増減させることはできるのだろうか。行政解釈において、超過時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、超過時間が生じた清算期間内における賃金のその一部がその期間の賃金支払い日に支払われないため、労基法24条の賃金全額払原則違反となり許されないとしています。一方、不足時間分を次の清算期間の総労働時間に上積みして労働させることは、法定労働時間の枠内であれば可能としています。

割増賃金の支払義務

フレックスタイム制の下では、清算期間内における実労働時間が、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた場合に割増賃金の支払義務を負う時間外労働となります。フレックスタイム制を採用した場合に法定時間外労働となるのは、以下に示す労働時間となります。

清算期間が1か月以内の場合

清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定時間外労働となります。具体的な計算方法は以下のようになります。
(清算期間における実労働時間数)-〔週の法定労働時間 ×(清算期間における暦日数/7)〕

清算期間が1か月と超え3か月以内の場合

次の①及び②を合計した時間が法定時間外労働となります。

  • 清算期間を1か月ごとに区分した各期間における実労働時間のうち、各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間。具体的な計算法は以下のようになります。(清算期間を1か月ごとに区分した期間における実労働時間数)-〔50×(清算期間を1か月ごとに区分した期間における暦日数/7)〕
  • 清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記①で算定された時間外労働を除く)。

残業代の支払義務

フレックスタイム制において、ある清算期間中に、労使協定で定めた総労働時間を超え、かつ法定労働時間を超えない時間の労働が行われた場合、かかる時間の労働は法内残業に当たるため、使用者は法定時間外手当の支払義務を負うことになります。

残業代の支払いについてお悩みの方、半田みなと法律事務所へご相談ください。