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2025.03.25 労働問題(個人)

残業代請求すると報復される?

残業代請求すると報復される?

「未払いの残業代を請求したいけど、会社から報復されるのが怖い」

「残業代請求したいけど、お世話になった会社だから気まずい…」

残業代を請求したいと思っても、請求をためらってしまう気持ちもよくわかります。しかし、残業代を請求することは労働者の権利です。残業代を請求することは当然の行為であるため、本来気まずさを感じる必要はありません。

万が一、残業代請求によって不利益な扱いを受けても、残業代請求を弁護士に依頼すれば、報復に対してスムーズに対処できます。

残業代請求に対する会社の報復とはどんなものがあるのか

いじめ、パワハラ

残業代請求をしたら、それをきっかけに上司や経営者による「パワハラ」が始まったり激しくなったりするケースもみられます。残業代請求した労動者を精神的に追い詰め、居づらくさせることで請求をあきらめさせようとするものです。しかし、そもそもパワハラは不法行為(民法709条)であり、慰謝料をはじめとした損害賠償を請求できます。そして、報復として行われれば、その違法性は更に高まります。

報復人事

残業代請求をおこなうことで、地方や閑散とした部署に左遷させられたり、降格されて給与を下げられたりするおそれがあります。会社には人事権が認められていますが、こういった不当な目的や理由に基づく人事異動は、権利の濫用であるとして無効であると考えられます。

懲戒処分・不当解雇

残業代請求をきっかけに、減給などの懲戒処分を受けたり、報復目的で解雇されたりするおそれがあります。しかし、懲戒処分や解雇には客観的かつ合理的な理由があり、常識的に相当でない限り、法的な効力は認められないことになっています。したがって、報復によって懲戒処分を受けたり解雇されたりしたという場合でも、そのような処分は無効であると考えられます。

報復を受けた場合の対処

会社から報復ともとれる対応を受けた場合には、以下のような対処法をとることが重要です。

証拠を残す

残業代請求に対する報復は、労動者の権利を侵害する違法行為です。報復が予想されるなら、対抗手段を徹底しなければなりません。仕返しではないかと疑われる行為を受けたなら、証拠をしっかり収集し、適切な相談先に連絡することで、権利を守るための対策を講じることができます。

証拠例:不利益な処分(降格通知、配置転換命令、給与減額の通知など)の書面やメール、社長や上司との会話で報復を示唆された録音、同僚などが報復行為を目撃した場合の証言など

労働基準監督署などの専門機関に相談する

労働基準監督署は、労働条件についての法違反を監督する行政機関です。労働基準法を主に取り扱うため、残業代の未払いについても会社を監督し、指導してくれます。

残業代を払わない会社が報復してくると予想されるときは、労働基準監督署に通報し、サポートを受けることが対策になります。労働基準監督署は、強制的に会社を調査したり、資料を提出させたり、場合によっては法違反について是正勧告を発し、従わない会社に刑罰を科すことができます。このような強い権限をもとに、報復を止めさせる効果が期待できます。

弁護士に相談する

労働相談をするならば、労働問題を得意としている弁護士がもっとも頼りになります。残業代請求、不当解雇への反論や裁判、パワハラに対する慰謝料請求など、どのようなトラブルでもサポートしてくれるので、是非とも一度、相談してみてください。

在職中に残業代請求をするメリット

証拠を集めやすい

在職中は退職後に比べて、勤怠管理システムやタイムカード、メールなどの記録が残っているため、客観的な証拠を集めやすいというメリットがあります。違法なサービス残業をさせられているケースでは、定時にタイムカードを打刻したり、自宅に仕事を持ち帰らせて残業したりすることも多いです。その場合には、実際に残業をしていることを証明できる証拠を収集する必要があります。具体的には、「パソコンのログイン・ログオフ時間の記録」や上司の許可を得た業務日報などがあげられます。運送業の方は、「タコグラフ」も証拠になります。

また、在職中は、上司や同僚の証言なども得やすくなります。

労働意欲を向上させる

どれほど働いても残業代がもらえないのでは、会社に貢献する気持ちは薄れるでしょう。残業代の適正な支払いが実現できれば、従業員と企業の間の信頼関係を再構築することができ、労動者側にとっては労働意欲を向上させることができるメリットがあります。

残業代の時効を中断できる

残業代請求の時効は3年です。退職後に残業代請求をしようと考えていると、時効が完成し、請求しても時効を理由に受け取れる残業代が減ってしまうおそれがあります。

残業代を請求すれば、時効を中断させることができるので、内容証明によって請求した証拠を残すと法律上の「催告」にあたり6ヶ月間時効の完成が猶予されます(民法150条)。

残業代請求に対する報復的行為は多くの場合違法です。報復を受けたら、とりあえず集められるだけの証拠を集めて労働問題が得意な弁護士に相談に行き、適切な対処方法をアドバイスしてもらうのが良いでしょう