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2022.05.23 交通事故・労災

交通事故が労災になったときの対応

交通事故が労災になったときの対応

治療費、休業損害、慰謝料、労災保険について

業務中や通勤・退勤の途中に交通事故に遭ってしまった場合、「労災(労働災害)」となります。交通事故でも労災認定されれば労災保険が給付されるので、治療費や休業損害、慰謝料など、正しい知識を持って適切に補償を受けましょう。また交通事故の場合、加害者の自賠責保険と労災保険の関係も知っておくとよいでしょう。

交通事故と労災の関係

労災保険(労働者災害補償保険)とは、労働者災害補償保険法に基づく制度で、労働者が業務上や通勤によって、負傷や障害を負ったり、疾病にかかったり、又は死亡した場合に、当該労働者やその遺族に支払われる保険のことです。雇用者は一人でも従業員を雇ったら必ず労災保険に加入しなければならず、対象者は正社員や契約社員、嘱託社員、アルバイトやパート、日雇い労働者を含むすべての従業員となります。
労災保険が適用される労災事故を一般的に「労災(労働災害)」と呼んでいます。労災保険法は、業務時間中など仕事に関係して死傷したり病気になったりした場合を「業務災害」、通勤退勤の途中に死傷したり病気になったりした場合を「通勤災害」として区別しています。
通勤途中に事故に遭ってしまった場合、労災保険が適用されます。労災保険を適用する場合、会社に届け出ている通勤経路(就業場所と自宅の往復)で事故に遭ったり、社用車で取引先に向かう途中で事故に遭ったりと、合理的な経路である必要があります。また、交通事故が労災に該当する場合、労災保険から各種の給付を受けられますが、そのためには労基署へ「労災保険の申請」を行って労災認定されなければなりません。業務中や通勤退勤途中に交通事故に遭ったら、書類を作成して労基署へ提出し、各種給付の申請をしましょう。
また交通事故は労災事故の中でも「第三者行為災害」に分類され、これは本人や会社以外の「第三者の行為」によって発生した労災事故になります。交通事故の場合には加害者が第三者となり、第三者行為災害の場合には、労災保険申請の際に通常書類とは別途「第三者行為災害届」を提出する必要があるので注意が必要です。

労災保険から支給される補償の種類

交通事故が労災認定されると、以下のような給付金を受け取れる可能性があります。

療養(補償)給付

療養給付は、いわゆる治療費で、労働者が業務災害または通勤災害により負傷または疾病にかかり療養を必要とする場合に行われます。労災扱いになると、健康保険の場合と異なり,被保険者の窓口負担はなく、基本的に労災保険が治療費を全額支給してくれます。

休業(補償)給付

労働者が業務災害または通勤災害に係る療養のために,仕事ができず、賃金が減額されるかまたは賃金の支払いを受けられない場合に,給付される金銭です。休業給付は休業開始4日目以降から給付され、基礎賃金の8割までとなります。

障害(補償)給付

通勤災害での負傷が治らず、後遺障害が残ってしまった場合、認定された後遺障害の等級によって一時金や年金を受け取れます。障害給付は「後遺症が残った」という状態だけでは支給されず、後遺症が「後遺障害」と認定されて初めて支給されます。認定等級が1~7級なら障害補償年金(障害年金)、8~14級なら障害補償一時金(障害一時金)として支給されます。

傷病年金

療養補償給付を受ける労働者の傷病が、療養の開始後1年6ヶ月を経過しても治癒せず、1~3級の傷病等級に該当する場合には傷病年金が支給されます。傷病給付を受け取る手続きは被災者からの申請ではなく、労基署長の判断によります。傷害給付が支給されると休業給付は受けられません。

介護(補償)給付

労災に遭って重傷を負い介護が必要になった場合、一定の条件を満たせば介護費用が支給されます。障害補償年金または傷病補償年金の第1級の者または第2級の者(精神・神経障害および胸腹部臓器障害者の者に限る)で,常時または随時介護を要する者に支給されます。

遺族(補償)給付

業務災害または通勤災害により労働者が死亡した場合に、遺族に対して年金または一時金として給付金が支払われます。遺族補償給付には,遺族補償年金(遺族年金)と遺族補償一時金(遺族一時金)とがあり,労働者の死亡当時の生計維持関係,死亡労働者との続柄,遺族の年齢等によっていずれかになります。

葬祭料

労働者が業務上死亡した場合に、遺族に葬祭料が支払われます。31万5,000円の定額に給付基礎日額の30日分を加えた額、または給付基礎日額の60日分の額のいずれか高いほうの額が支給されます。

自賠責保険と労災保険の関係

交通事故に遭った場合、被害者は加害者側へ損害賠償請求として、休業損害、介護費用、後遺障害に関する損害(慰謝料や逸失利益)、死亡した場合の損害(慰謝料や逸失利益)などを請求できます。一方、交通事故が労災になると、労災保険からも治療費や休業補償、障害給付などを受け取れます。ただ、労災保険と交通事故の両方に補償がある項目については、どちらか一方しか受け取れません。
労災保険を適用すると、労災保険から治療費を全額支給してもらえます。自賠責の場合には「120万円」などの限度がありますが、労災保険には限度がないので最後まで安心して治療を受けられます。また、労災保険では治療費の打ち切りの心配がありません。治療期間が長くなると、任意保険会社は一方的に治療費の支払いを打ち切るケースが多く、症状固定していないのに無理矢理治療費を打ち切られて困る被害者の方がたくさんおられます。しかし、労災保険の場合は、基本的には医師の判断が尊重されるので、保険会社の判断で打ち切られる心配がありません。
労災保険の場合、休業(補償)給付が支給されます。労災保険では、休業期間中、賃金を受けない4日目から、休業1日につき平均賃金の60%の「休業(補償)給付」が支給されます。併せて、休業1日につき平均賃金の20%の「休業特別支給金」が支給されるので、合計80%の休業補償が支給されることになります。

慰謝料について

交通事故の損害賠償金には慰謝料が含まれますが、労災の障害補償給付金には慰謝料は含まれません。そのため、労災の障害補償を受けても慰謝料を支払ってもらったことにならないので、加害者へ満額の慰謝料を請求することができます。また、後遺障害が残ったケースで慰謝料を受け取るには自賠責での「後遺障害認定」が必須となります。
交通事故に遭った際には、被害者が受傷したときに請求できる(後遺障害が残らなくても発生する)「入通院慰謝料」、被害者に後遺障害が残ったときに請求できる「後遺障害慰謝料」、被害者が死亡したときに請求できる「死亡慰謝料」の3種類の慰謝料が支払われます。しかし、これらの慰謝料は、労災保険からは一切支給されません。そのため、交通事故の慰謝料は、加害者や加害者の保険会社に請求する必要があります。

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