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2026.05.25 交通事故・労災労働問題(個人)

メンタルヘルス対策は必要?対策のポイントや労災認定の要件も

メンタルヘルス対策は必要?対策のポイントや労災認定の要件も

メンタルヘルスの不調による労災認定が急速に増えています。使用者は、労働者が業務上の原因でメンタルヘルスの不調にならないように、普段から心がけなければなりません。普段から会社として予防策を講じることが重要となります。

今回は、メンタルヘルス対策が必要な理由や、法的に見る使用者側が取るべき対策や対応、メンタルヘルスの不調で労災認定となる要因などについて解説します。

メンタルヘルス対策が必要な理由

メンタルヘルスとは心の健全な状態のこと。WHOもメンタルヘルスについて定義しており、単に心身共に健康であるだけでなく、自分の能力を発揮し、日常生活のストレスに対処でき、職場や地域で貢献できるような満たされた状態であるとしています。しかし近年、職場で強い不安やストレスを感じている労働者は6割にのぼり、メンタルヘルスの不調を理由に長期間休業や退職をする労働者が増えています。

メンタルヘルスの不調者がいる場合、その勤務態度などによっては他の労働者に負担がかかることがあります。その結果、職場環境が悪くなったり、他の労働者への負担が過多になったりして、メンタルヘルスの不調が他の労働者にも広がってしまう危険性もあります。

法的に見るメンタルヘルスへの対策や対応

法律的にメンタルヘルスが問題となるのは、メンタルヘルスが原因の欠勤、休職、退職、解雇などがあった場合が主です。メンタルヘルスの不調を判断・主張する際には、他の病気やケガとは異なり医学的、専門的な知見が必要となることが多く、紛争が長期化するおそれもあります。

心のバランスが崩れることは誰にでもあるものです。使用者にできることは、法律に従って労働者のメンタルヘルスを損なわないための仕組みを制度として設け、メンタルヘルスを損なった労働者に対して正しく対応することです。具体的にどのような対策・対応が求められるのか、ご紹介します。

安全配慮義務に基づいて未然防止、早期発見、復職支援を行う

使用者は、労働者に対して、労働契約上の安全配慮義務を負っています。安全配慮義務とは、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することのできるよう、必要な配慮をする義務をいいます。使用者としては、労働者がメンタルヘルスの不調に陥らないよう予防し、早期発見・早期対応や、復職の支援や治療の協力なども安全配慮義務の一環として行っていく必要があります。

メンタルヘルス対策は、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見・早期対応)、三次予防(復職支援)の3段階で考えられます。具体的には、ストレスチェックの実施、相談窓口の設置、メンタルヘルス研修、コミュニケーションの活性化、産業医や外部機関の活用などが挙げられます。
厚生労働省は、労働安全衛生法で「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を定め、職場におけるメンタルヘルス対策を推進しています。使用者は、この指針に基づき、メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供、職場環境等の把握と改善、メンタルヘルス不調への気付きと対応を職場内において整えることが重要となります。

休職制度を整え周知する

休職制度とは、労働に服させることが不適当な事由が発生した場合、労働者としての地位を維持したまま一定の期間労務に服することを停止させることです。勤務はしないが、労働関係が解消されているわけではないので解雇とは異なります。休職制度には、私傷病休職、事故休職、起訴休職、調整休職、依頼休職などがあり、メンタルヘルスの不調者が休職をする場合は、業務上の原因ではなければ、私傷病休職となります。

業務上の原因での傷病である場合、その休業中及び復職後30日間の解雇が原則として制限されており、労災認定や休業補償等の対象となります。使用者は、使用者が果たすべき安全配慮義務に違反したとして、労働者に損害賠償責任を負うこともあります。

休職制度の内容は就業規則に規定し、内容としては、どのような場合に休職が適用されるか(休職事由)、休職期間、休職開始手続、休職期間中の責務、休職期間満了の取扱いなどを決めることになります。休職事由については、メンタルヘルスの特性を捉えた規定の仕方が重要となり、メンタルヘルスの不調の場合は出勤、欠勤を繰り返す場合もあるので注意が必要です。休職期間については、勤務年数に応じて変える場合や全労働者を一律とする場合や、入社1年目は適用を除外する場合などさまざまです。メンタルヘルスの場合は、復職後短期間で休職するということを繰り返すケースも多く考えられることから、通算規定を設けることも重要です。

復職可能な状態か慎重に判断する

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」により、事業者向けに、メンタルヘルスで休業した労働者の職場復帰支援の手引きが周知されています。実際には、休職期間満了時に復職可能かどうかについて使用者と労働者の間で紛争になることはよくあり、使用者としては、労働者の体調を定期的に把握しておくことが必要です。使用者は、労働者から、復職可能の診断書を提出されて復職を希望された場合は、以下のような方法で復職後の勤務の可能性を判断することになります。

  • 主治医との面談や情報提供の要請をして診断書の内容を確認する
  • 産業医と労働者を面談させて産業医の意見を聴く
  • 人事部と労働者を面談させる

退職・解雇の際は正しい手順で手続きを行う

就業規則で定められている休職期間満了時に復職できない場合、「(当然)退職」になるのか「解雇」となるのかは、就業規則の定めによります。解雇となる場合は、解雇予告・解雇制度の規定が適用されるので、解雇通知を出す必要があります。就業規則で、(当然)退職とされている場合にも、休職期間満了時に復職できなければ退職となる旨の通知を事前に行っておくべきです。

メンタルヘルスの不調で労災認定となる要件

メンタルヘルスの不調をはじめとする精神障害が労災認定されるのは、仕事による強いストレスが原因で発病したと認められた場合に限ります。

長時間労働による過重労働が認められる場合、メンタルヘルスの不調には業務起因性が肯定されやすい傾向にあります。長時間労働が関係している場合、労災認定の要件である「業務上の強い心理的負担が認められるか」について判断する際に、以下の3つのケースに該当するかが評価されます。

  1. 発病直前の極めて長い労働時間の場合
  2. 発病前の1か月から3か月の間の長時間労働の場合
  3. 他の要素と関連した恒常的長時間労働の場合

長時間労働は業務上の原因に結びつきやすいので、労働時間の管理は重要となります。

メンタルヘルス対策や労働問題については弁護士にご相談を

労働問題が起きてしまった場合、相手方労働者との関係悪化のみならず、従業員全体のモチベーション低下や信用低下など、企業の労働環境全体に影響を及ぼします。また、労働問題が表面化することで、対外的なイメージダウンや業績の悪化につながることもあります。

労働者のメンタルヘルスを守るためにどのような対策をとっていけばいいのかお悩みの方や、労働者のメンタルヘルス不調が発症してしまった場合には、半田みなと法律事務所へご相談ください。知多半島全域、碧南市、西尾市、高浜市を中心に、労働問題についてのサポートや手続きの代行などをご依頼いただけます。必要に応じて相手方との交渉や労働裁判の対応などはもちろん、社内外の風評リスクを最小限に抑えるための対策を講じます。初回は無料法律相談をご利用いただけます。