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2023.10.05 交通事故・労災労働問題(個人)

メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策

近年、強い不安やストレスを感じている労働者は6割にのぼり、メンタルヘルスの不調を理由として、長期間休業や退職をする労働者が増えています。メンタルヘルスの問題は、これを原因とする欠勤、休職、退職、解雇といった場面で問題になり、その際の判断や主張は他の病気等とは異なり医学的、専門的な知見が必要となることが多く紛争が長期化するおそれもあります。メンタルヘルスの不調者がいる場合、その勤務態度等によっては他の労働者に負担がかかり職場環境が悪くなったり、また、他の労働者への負担が過多になりメンタルヘルスに不調を及ぼす危険性もあります。

安全配慮義務

使用者は、労働者に対して、労働契約上の安全配慮義務を負っています。安全配慮義務とは、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することのできるよう、必要な配慮をする義務をいいます。使用者としては、労働者がメンタルヘルスに陥らないよう予防し、早期発見・早期対応や、復職の支援や治療の協力なども安全配慮義務の一環として行っていく必要があります。
厚生労働省は、労働安全衛生法で「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を定め、職場におけるメンタルヘルス対策を推進しています。使用者は、この指針に基づき、メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供、職場環境等の把握と改善、メンタルヘルス不調への気付きと対応を職場内において整えることが重要となります。

休職制度

休職制度とは、労働に服させることが不適当な事由が発生した場合、労働者としての地位を維持したまま一定の期間労務に服することを停止させることです。勤務はしないが、労働関係が解消されているわけではないので解雇とは異なります。休職制度には、私傷病休職、事故休職、起訴休職、調整休職、依頼休職などがあり、メンタルヘルスの不調者が休職をする場合は、業務上の原因ではなければ、私傷病休職となります。

業務上の原因での傷病である場合、その休業中及び復職後30日間の解雇が原則として制限されており、労災認定や休業補償等の対象となり、使用者は、使用者が果たすべき安全配慮義務に違反したとして、労働者に損害賠償責任を負うこともあります。会社は、労働者が業務上の原因に基づいてメンタルヘルスに不調をきたした場合、労災認定をされる可能性もあるので、普段からの予防策が重要となります。

休職制度の内容は就業規則に規定し、内容としては、どのような場合に休職が適用されるか(休職事由)、休職期間、休職開始手続、休職期間中の責務、休職期間満了の取扱い等を決めることになります。休職事由については、メンタルヘルスの特性を捉えた規定の仕方が重要となり、メンタルヘルスの不調の場合は出勤、欠勤を繰り返す場合もあるので注意が必要です。休職期間については、勤務年数に応じて変える場合や全労働者を一律とする場合、入社1年目は適用を除外するなど様々ですが、メンタルヘルスの場合は、復職後短期間で休職するということを繰り返すケースも多く考えられることから、通算規定を設けることも重要です。

復職

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」により、事業者向けに、メンタルヘルスで休業した労働者の職場復帰支援の手引きが周知されています。実際には、休職期間満了時に復職可能かどうかについて使用者と労働者の間で紛争になることはよくあり、使用者としては、労働者の体調を定期的に把握しておくことが必要です。使用者は、労働者から、復職可能の診断書を提出されて復職を希望された場合は、主治医との面談や情報提供の要請をして診断書の内容を確認したり、産業医と労働者を面談させて産業医の意見を聴いたり、人事部等に面談したりして復職後の勤務の可能性を判断することになります。

退職・解雇

就業規則で定められている休職期間満了時に復職できない場合、「(当然)退職」になるのか「解雇」となるのかは、就業規則の定めによります。解雇となる場合は、解雇予告・解雇制度の規定が適用されるので、解雇通知を出す必要があり、就業規則で、(当然)退職とされている場合にも、休職期間満了時に復職できなければ退職となる旨の通知を事前に行っておくべきです。

労災認定

メンタルヘルスの不調による労災認定が急速に増えており、使用者は、労働者が業務上の原因でメンタルヘルスの不調にならないように普段から心がけなければなりません。

長時間労働による過重労働が認められる場合、メンタルヘルスの不調には業務起因性が肯定されやすい傾向にあります。長時間労働が関係している場合、①発病直前の極めて長い労働時間の場合、②発病前の1か月から3か月の間の長時間労働の場合、③他の要素と関連した恒常的長時間労働の場合に分類して、労災認定の要件の業務上の強い心理的負担が認められるかについての評価を行っています。長時間労働は業務上の原因に結びつきやすいので、労働時間の管理は重要となります。

お悩みの方は、半田みなと法律事務所へご連絡くださいませ。