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Category労災の後遺症と労災補償・損害賠償
労働災害(労災)でけがをし、治療を行ったものの、以前の状態には戻らずに、これ以上の回復は見込めないと医師から判断されることがあります。このような状態を「症状固定」といい、そうなった場合には労災保険に障害等級を認めてもらう申請を行います。
労災での後遺障害が認められるには、後遺障害等級表に該当またはそれに準ずる症状が残っていることを、労働基準監督署(労基署に)認めてもらう必要があります。後遺障害は残ってしまった症状の重さにより、1~14等級に分かれていて、等級の数字が小さいほど障害が重くなり、補償を受け取る金額もその等級によって変わります。
障害等級認定の流れ
労災保険における後遺障害等級認定を行う主体は、労働基準監督署です。労基署は、被災労働者から「障害補償給付の支給請求書」の提出を受けると、障害等級の認定調査を行います。
障害補償給付の請求にあたっては、障害の内容を具体的に記載した診断書を一緒に提出しなければなりません。これは、症状固定となった後に医師に作成していただくものですが、労基署はこの診断に基づいて等級認定判断を行うので、非常に重要な診断書です。ただ、交通事故において自賠責保険が行う後遺障害認定とは異なり、労災保険での労基署は、判断するにあたって不明点があれば、医師に様々な照会を行って得られた回答を踏まえて障害等級認定を行うので、交通事故に比べれば、より適正な認定判断が得られやすい傾向にあると言えます。
また、労基署は障害等級認定の際に、原則として被災労働者本人と面談を行います。面談において聞かれるのは、主に後遺症状の内容や程度、業務や日常生活における支障の有無や内容です。事故の様子、事故後の治癒経過などについて聞かれることもあります。被災労働者本人の申し立てと、医師の診断書に相違点があれば、労基署が医師に照会を行い、回答を踏まえて判断することもあります。
面談後、1~2か月程度で認定結果が出ることが多いようです。
障害補償給付金
労災の後遺障害に対する障害補償給付は、等級によって継続的に受け取れる「障害補償年金」と、一度だけ受け取れる「障害補償一時金」があります。金額は、事故前の給料に基づいた「給付基礎日額」にて算出します。
給付基礎日額
給付基礎日額とは、事故が起きる直前の3か月間に支払われた給料をその期間の日数で割った、一日当たりの平均給与額のこと。実際に働いた日数ではなく、休日も含めた日数で計算します。給与には、通勤手当や住宅手当などを含みますが、ボーナスは含みません。
障害補償年金
障害等級の1~7級に認められるような重い後遺障害が残った場合は、障害補償年金として
1年ごとに「給付基礎日額×等級に応じた日数」の給付を受けることができます。また、障害補償年金に上乗せし、「特別支給金」も受け取れます。
補償の目安は以下の通りです。
後遺障害等級 | 計算に使う日数 | 障害特別支給金 |
1級 | 313日 | 342万円 |
2級 | 277日 | 320万円 |
3級 | 245日 | 300万円 |
4級 | 213日 | 264万円 |
5級 | 184日 | 225万円 |
6級 | 156日 | 192万円 |
7級 | 131日 | 159万円 |
障害補償一時金
障害等級の8~14級に認められるような後遺障害が残った場合は、障害補償一時金を受け取ることができます。金額は障害補償年金と同じように、給付基礎日額と等級に応じた日数で決まり、等級ごとに特別支給金も受け取れます。
後遺障害等級 | 計算に使う日数 | 障害特別支給金 |
8級 | 503日 | 65万円 |
9級 | 391日 | 50万円 |
10級 | 302日 | 39万円 |
11級 | 223日 | 29万円 |
12級 | 156日 | 20万円 |
13級 | 101日 | 14万円 |
14級 | 56日 | 8万円 |
会社に請求できる後遺障害の損害賠償
労災の被災者となった場合、労災保険から支払われる補償を受けるだけでなく、会社に対して慰謝料などの損害賠償を請求することが可能です。
後遺障害慰謝料
障害が残ると今まで通り仕事ができなくなるばかりか日常生活にも様々な影響が出てしまい、苦しい気持ちで日々を過ごさなければなりません。後遺障害慰謝料は、その精神的苦痛に対する賠償金です。
後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、労災事故の被害によって失ってしまった将来の収入のことです。労災事故で後遺症が残り、事故前と同じように働けなくなればもともと得られたであろう収入が減ってしまう可能性があります。損害賠償では、その減損した収入についても請求する事ができます。後遺障害逸失利益は、被災した労働者の収入・認定された後遺障害等級・年齢で計算されます。
損害賠償は、使用者である会社に対して被災者自身が請求します。会社側に事故の責任があることを証明する必要があるため、弁護士に依頼することをおすすめします。
また、労災補償についても、障害等級が1級違うだけで、労災保険からの給付が100万円以上も違ってくることもありますので、労災被害に遭われた方は、弁護士のサポートのもと労基署への障害申請をすることをおすすめします。半田みなと法律事務所にお任せください。初回相談は無料、着手金無料です。