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2025.02.20 交通事故・労災

建設現場での労災事故

建設現場での労災事故

厚生労働省が公表する令和5年の労働災害発生状況によれば、労働災害における死亡者数は建設業が最も多く、事故の類型として挙げられるのは「墜落・転落」です。建設現場の作業は高所や不安定な場所での作業を伴うため、「墜落・転落」が他の業種に比べ発生しやすく、労働災害が発生しやすい環境の一つと言えます。また、様々な機械や車両を使用する建設現場ならではの特性から「交通事故(道路)」や「はさまれ・巻き込まれ」といった類型の労災事故が多く発生していると考えられます。

建設現場で起こりやすい労災事故

屋根の塗装作業中、墜落し死亡

作業員が屋根の塗装作業中に墜落し、死亡した事故が発生しました。原因として、安全帯を適切に装着していなかったことが挙げられています。また、足場が不十分で、作業環境が安全ではなかった点も事故の要因とされています。

ケーブルクレーンの架線作業中、斜面を転落し死亡

ケーブルクレーンの盛り替え作業を行っていた作業員がバランスを崩し、転落して死亡する事故が発生しました。滑り止め措置が不十分だったことや、作業指揮者が作業の指揮をとっていなかったこと等が問題視されています。

荷物を持ってはしご・脚立を昇り降りしていたところ、転落した。

荷物を持って昇降するのはとても危険です。例えば、一人で作業しなければならない状況で、荷物を高所に上げ下ろしするような作業をさせられていたのであれば、そもそも、そのような危険な作業指示をしていた会社の安全配慮義務違反が認められます。

はしごが転位して転落した

はしごの上部・下部を固定しない(固定できない場合、他者が押さえない)とか、脚の滑り止めが剥がれて滑ってしまった等して、はしごが転位して転落してしまうことがあります。転位防止のための必要な措置がとられていないということは、労働安全衛生規則527条違反であり、会社の安全配慮義務違反は認められ、会社の賠償責任は肯定されるでしょう。

 

仕事中の怪我は労災申請をするべき

労働者が業務を原因として負傷してしまった場合、労災保険給付を受けることができ、そのためには労災申請をする必要があります。

労災申請は、会社が被災労働者の代わりに行ってくれることも多いですが、一方で、仕事中に怪我をしたにもかかわらず、会社から「労災申請はするな」「治療費は会社が支払うから労災にはしないでほしい」「今回の事故は労災事故ではない」などと言われ、労災申請に会社が協力してくれないこともあります。

しかし、労災に該当するかどうかは会社が決めることではありません。会社が労災申請に協力してくれないときは、被災労働者自身で労災申請をすることもできます。

労災が認定されると、治療に必要な療養補償給付や、怪我で働けないときの収入の補償となる「休業補償給付」、後遺障害が残ってしまったときには「障害補償給付」といった労災保険給付を受けることができ、怪我の治療費や収入等に対する負担が軽減されます

一人親方について

建設業における労災保険は、その建設工事の元請業者の加入する労災保険によって、元請業者の雇用する労働者はもとより、下請業者の労働者の労働災害についても補償することに特色があります。そして、国の労災保険は、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですので、役員や一人親方といった労働者ではない者は制度の対象ではありません。

そのため元請業者の加入する労災保険による補償を受けられません。

もっとも、労働者を使用しないで土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復 破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)を行うことを常態とする一人親方等については、労働者に準じて保護することが適当であるとして、労災保険への任意加入が認められています。これを特別加入制度と言います。

なお、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、一人親方等として特別加入することができます。

補償の対象となる範囲には、一定の要件がありますのでご注意下さい。

また、一人親方であったとしても、元請業者との間に実質的には使用従属関係があったと認められる時は、個人で労災保険の特別加入をしなくても、元請業者が使用する労働者として扱われることもあります。この場合、請業者の労災保険による補償を受けられる場合があります。

会社に対して損害賠償を請求する選択肢も

労災保険からの給付には、慰謝料(入・通院慰謝料、後遺障害慰謝料)はなく、休業補償も事故前収入と同じだけ(100%)は得られない、後遺障害による将来の収入減少への補償が不十分である、といった点があげられます。

もし、建設現場での「墜落・転落」に会社の安全配慮義務違反等があるならば、会社(事業主)に対して損害賠償請求をすることによって、労災保険給付だけでは不十分なこれらの点、すなわち、慰謝料、休業補償の不足分、後遺障害による逸失利益の賠償を受けられることになります。

弁護士にご相談を

労災に遭った際は、労災保険の給付のための手続きを行ったり、会社に対して損害賠償を請求したりする必要がありますが、適切に進めるためには高度な専門的知識や多大な労力が求められます。

特に、会社に対して損害賠償を求める際は、元請と下請のどちらに責任があるのか・責任の原因は何か・損害額はいくらかといったことを法的に整理し根拠を示さなければなりません。

弁護士に相談すれば、労災事故に対する充分な補償を受けるために効果的なサポートを受けられるでしょう。まずはお気軽にご相談ください。初回60分法律相談無料で実施しております。お電話でも可能ですので、お一人で悩まず、ご連絡お待ちしております。