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Category学校事故について
学校事故 ~授業中の事故~
体育の授業中の事故
体育の授業は、身体の積極的運動を伴うことから、授業の内容自体に危険性を内在させています。そのため、指導する教師等は、起こりうる危険を予見するという結果予見義務と、適切な措置をとるべき結果回避義務という注意義務を負っています。一方で、体育の授業は、積極的で活発な活動を通じて初めて心身の調和的発達を図るという教育効果が期待できるものであり、あらゆる危険を完全に回避することは不可能でもあります。また、体育の授業では、その種目と程度が、児童や生徒の発達段階・能力に鑑みて適切であることが必要とされます。
生徒の健康状態や能力を把握する義務
体育の授業は、体力を必要とするため、教師等は、児童・生徒の健康状態に注意をしながら指導すべき義務があります。担当教師は、体育の授業が始まる前に、児童・生徒の体調を調査し、体調の悪い児童・生徒にはその旨を申し出させたり、家庭との連絡を密にして普段の状況を把握したりして、普段からの病弱者、特異体質者には個別に体調を聞くなどする義務があります。体調がおかしいを気付いたときは、児童・生徒が大丈夫だと言ったとしても、医師等の検査を受けさせるなどの措置をとるべきです。
また、児童・生徒の能力に応じた指導が行われないと生徒の生命、身体の安全を確保することはできないことから、教師等には、児童・生徒の能力を的確に把握し、これに応じた指導を行う義務があります。すなわち、危険な実技を実施させる場合には、児童・生徒の能力を確認し、個別的、段階的指導を行う必要があります。
事故が起こった後の応急処置等の対応
事故が発生した場合、教師等には、事故発生後の被害発生を防止し、被害を最小限にするために適切な予防措置をとることが求められます。この措置には、児童・生徒の状態を観察し、生徒の状態によっては医師に見せたりするなどの適正な手当てをすることや、児童・生徒の保護者への連絡も含まれます。
体育以外の授業中の事故
理科の授業
理科の実験や実習も、危険性のある器具や薬品を使用して授業を行うため、それ自体に危険性が内在するという特徴があります。そのため、教師等には、事故の発生を未然に防止する義務があり、①事前に適切で安全な実験方法を指導する義務、②適切な実験基部を用意する義務、③実験を行う際に適切に指導・監督する義務が具体的なものとして挙げられます。
事前に適切で安全な実験方法を指導する義務
理科の授業で教師等は、授業に必要な器具や薬品等の危険性を十分に認識し、指定された使用方法や取扱方法に従って指導する義務を負っています。
適切な実験器具を用意する義務
教師等には、実験・実習に使用する器具、薬品等について、あらかじめその性質や危険性を調査し、適切に用意、保管・管理することが求められます。
実験を行う際に適切に指導・監督する義務
教師等は、危険な実験・実習を行う際には、教師等が実験・実習に立会い、児童・生徒らを適切に指導・監督する義務を負っています。実験前にその危険性や実験の手順について十分に説明をしたとしても、児童・生徒によっては、実験中に教えられたとおりの実験を行うことができない者や、不適切な方法で実験・実習を行う者がいることは十分に予想されます。
学校行事中の事故
学校行事も教育活動の一環として行われるものであり、学校及び教師は、学校行事を行うに際し、児童・生徒の身体・生命に対する一般的保護義務を負っています。また、事故の発生を防止するために十分な措置を講ずるべき注意義務を負っています。
学内行事
運動会等の学内行事は、日常の授業とは異なる一時的な行事であることから、児童・生徒の危険に対する対応力が備わっていないこともあり、どのような危険が伴うかは予想し難い面があるという指摘がされています。しかし、学内行事の実施場所は、児童・生徒が日頃から慣れ親しんだ校庭内や校舎内である点では、日常の授業等と変わりはありません。そのため、学内行事中の事故における教師等の責任について裁判例では、授業中の事故と注意義務違反の認定判断に特に債を設けていないようです。
学外行事
修学旅行等の学外行事は、一時的な行事であること、児童・生徒の危険に対する対応力が備わっていないこと、危険の予測が困難であることは、学内行事と異なるところはありません。しかし、学外行事は、学校が管理・支配していない場所で行われるため、開放感から浮かれた行動に出る児童・生徒がいる点は、日常の授業や学内行事と異なります。そのため、教師等には、特に十分な事前調査と指導、事故発生時の対応策の準備が求められています。
学校事故について、お悩みの方は半田みなと法律事務所までお気軽にご相談くださいませ。