お知らせ・コラム
Columnカテゴリ
Category離婚について
昨今、有名人や芸能人の不倫等による離婚騒動が話題となっています。そこで、離婚について考えていきたいと思います。日本では離婚がどの程度あり、どのような手続きでおこなわれているのか、調べていき、少しでも皆さまの参考になればと考えています。
日本での離婚件数
厚生労働省の調べでは、少し古い資料ですが、年間の離婚件数はおおよそ25万件あります。ちなみに婚姻件数はおおよそ70万件です。単純に婚姻件数に対する離婚件数の割合は約35%です。結婚した夫婦のおおよそ1/3が添い遂げず、途中で夫婦それぞれの道へ分かれていくのが現実です。
離婚へ至る道
婚姻の場合は男女双方の合意のもとにおこなわれます。他方、離婚の場合は夫婦合意の上に何の問題もなく行われるというわけにはいきません。それでも離婚件数の90%弱程度は夫婦合意のもとに離婚されています。問題は残りの10%強の夫婦です。日本の手続き制度で、それら夫婦間で争われる場合は、夫婦どちらかが、あるいは両者が家庭裁判所に調停の申し立てを行い、「調停」「審判」「裁判」と手順を踏んで行くことになっています。
離婚の調停
調停は、本人自身で申し立てをしても利用できます。調停の申し立て手続きは家庭裁判所の手続案内で教えてもらえます。調停の利用費用は低廉であり誰でも利用できる制度となっています。家庭裁判所での離婚調停は、原則として本人が出頭しなければなりません。配偶者と直接に顔を合わせて話をしなくても、調停委員に対して話をすればよいのです。だいたい1ヶ月に1回ぐらいのペースで、調停が進められることになります。調停をうまく進めて離婚をまとめるには、夫婦双方が裁判所の調停委員を介することで互いに譲歩をすることができればまとめることができます。ただし、調停でまとまらなければ、最終的には「裁判」となります。それを予想して、費用は掛かりますが調停の時から弁護士を依頼しておけば「裁判」へもスムーズに移行できます。また、調停の時にも同席しますので、自分の思いをうまく主張できると思います。
家庭裁判所
離婚調停、審判、裁判を担当する家庭裁判所について参考に記します。家庭裁判所は各都道府県庁所在地並びに函館市、旭川市及び釧路市の合計50箇所に本庁が設けられているほか、203箇所の支所及び77箇所の出張所が設けられており、合計330箇所設けられています。ちなみに愛知県では、名古屋家庭裁判所と岡崎支部、豊橋支部、一宮支部、半田支部の5箇所あります。
家庭裁判所では、離婚に関する係争(調停・審判・裁判)の件数がおおよそ年間2万件、家庭裁判所・支部・出張所あわせて全国で330箇所なので、1箇所当たり年間平均60件(月平均5件)の離婚係争を担当していることになります。
審判
調停が成立しない場合は「家事審判法第24条」により、家庭裁判所が行う一種の強制調停で、調停時の双方の申し立ての趣旨に反しない限度で離婚に関する条件を提示する場合があります。これが「審判」ですが、離婚に関しては、ほとんど利用されていません。
離婚提訴の条件
離婚の訴えを行うには条件があります。それは「民法第770条」に次のように定められています。
1)夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。1.配偶者に不貞な行為があったとき。2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2)裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
離婚提訴の具体的な例
「民法第770条」に定める「離婚の訴えを行える5つの条件」のうち、1項「配偶者に不貞な行為があったとき」および、5項「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」について、もっと詳しく具体例を引いて考えてみます。
配偶者に不貞な行為があったとき
世間一般では「不倫」や「浮気」という言葉が良く使われますが、法律では「不貞」という言葉が使われています。それらの意味を『辞書 広辞苑』で調べてみましょう。(1)不倫:人倫にはずれること。人道にそむくこと。特に、男女の関係についていう。*人倫:人と人との秩序関係。君臣・父子・夫婦など、上下・長幼などの秩序。転じて、人として守るべき道。*人道:人のふみ行うべき道。(2)浮気:心がうわついていること。心が落ち着かず変わりやすいこと。②陽気で派手な気質。③男女間の愛情が、うわついて変わりやすいこと。多情なこと。他の異性に心を移すこと。(3)不貞:貞操を守らないこと。*貞操:女性の正しい操。②異性関係の純潔を保持すること。*純潔:心にけがれがなく清らかなこと。邪念や欲念がなく、心の潔白なこと。②性的に無垢なこと。
「法律用語としての不貞(行為)」は上記辞書に記載の用語説明より、更に具体的に次のように解釈されます。即ち、夫婦間の貞操義務に違反する行為で、一般的には、夫婦の一方が自分の意思で配偶者以外の者と性的関係を持つことと解釈されます。これに該当するとして、提訴し、提訴側が有利に進めていくには、不貞行為の証拠が必要です。しかし、密会の場に直接乗り込むことは通常不可能ですから、例えば次のようなことが有力な証拠となります。(1) 2人でホテルの一室に宿泊したことが分かるホテルの領収書や宿泊記録(2) 宿泊しなくても一緒にホテルの一室に入って過ごしたこが分かる証拠(3) 性的関係があることが読み取れる手紙や電子メール(相手側の携帯電話の電子メールを見た場合には、その電子メールを写真で撮っておくなど、証拠化しておきましょう)(4) 2人で旅行したことが分かる写真(5) 調査会社による尾行調査報告書(調査会社の調査能力に差があり、調査が長時間にわたると高額な費用が発生しますので、事前に十分調査会社と打合せをして見積もりをとるなどして、十分納得した上で依頼する必要があります)
【注意事項】相手が一旦は不貞行為を認めても、いざ本格的に離婚の話になると、否定し始める場合があります。配偶者から強く追及され、不貞行為を認めないとその場の収拾がつかなかったから認めただけだというような弁解をすることもありますから、不貞行為を認めている時期に、その旨一筆書いてもらう、録音に残すなどの方法は有効です。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは具体的にはどのような事柄が、離婚原因として主張されているのか列記します。(1) 相当期間の別居 … 3年~4年くらいで婚姻関係が破綻していると認められ、離婚が認容される傾向にある(2) 暴行・虐待等のDV … 被告側に有責性(責任がある)(3) 重大な侮辱・暴言等の精神的なDV … 被告側に有責性(4) 犯罪行為・受刑 … 被告側に有責性(5) 不労・浪費・ギャンブル・借金 … 被告側に有責性(6) 疾病・心身の障害 … 必ずしも夫婦の一方のみに責任があるとは言えない(7) 宗教活動(8) 親族との不和(9) 性の不一致(10) 性格の不一致 … 必ずしも夫婦の一方のみに責任があるとは言えない(11) 夫婦間の協力義務違反 … 家事・子育て等の分担
上記の原因は単独で主張される場合もありますが、むしろ、複数の理由をあげて、複合的な理由で婚姻関係が維持できなくなり、回復の見込みがないと主張することが一般的です。
離婚、男女問題でお悩みの方は、半田みなと法律事務所までご相談ください。