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2024.12.29 離婚・男女問題

熟年離婚の準備 女性のその後~財産分与

熟年離婚の準備 女性のその後~財産分与

熟年離婚とは

熟年離婚とは、一般に、結婚してから20年以上が経過した後に離婚する場合をいいます。
50代~60代の夫婦の場合、子供が自立したことや定年退職を迎えたことをきっかけに長年続けてきた夫婦生活から解放され、第二の人生をスタートさせるため、熟年離婚を選択される方がいらっしゃいます。

熟年離婚においては、離婚後に安定した生活が送られるように財産分与をしっかり行い、財産を確保することがとても重要なポイントとなります。

財産分与

財産分与とは、結婚後に夫婦が取得した財産をそれぞれに分け合うことです。結婚後、夫婦の協力によって築いた財産であれば、名義がどちらのものであれ、2人の共有財産とみなされます。その共有財産については、離婚の原因をつくった有責配偶者であっても、分与を請求することができます。

また、専業主婦(夫)の場合でも、妻(夫)の支えがあってこそ財産を築けたのですから、当然、財産分与を請求する権利があります。

熟年離婚の場合は、婚姻期間が長く、財産分与の対象財産は高額で複雑になる傾向にあります。また、近年では共働きが増えていますが、熟年離婚世代は専業主婦世帯が多く、夫婦間の収入格差により財産分与も多額となります。

そのため、熟年夫婦が離婚する際には、財産分与の金額や内容を巡って激しく対立することが多いです。

財産分与の3つの種類

財産分与は、次のとおり、主に3種類に分けられます。

清算的財産分与

結婚後に築いた共有財産を、それぞれの貢献度によって分けあいます。専業主婦(夫)であっても、原則として財産分与の割合を2分の1ずつとするルールが定着してきています。

共働き夫婦の場合は、お互いに収入があるとはいえ、実際には妻の方が夫よりも収入が低いことが多いのが現状です。そのため、財産形成への貢献度も夫より低く見られがちです。

しかし、家事や育児の負担は妻の方が大きいなど、単に収入だけの比較で貢献度は判断できません。そこで、共働きの場合でもやはり、財産分与の割合は2分の1ずつが一般的です。

養的財産分与

離婚によって、夫婦のどちらか一方が生活に困窮する場合に、生活を補助する扶養的な目的で財産を分けることをいいます。
例えば、高齢や病気を患っていたりして、安定した収入を得られる仕事になかなか就けない場合などに認められるケースがあります。

慰謝料的財産分与

慰謝料は、財産分与とは性質が異なるものなので、本来は別で算定して請求するのが原則とされています。しかし、慰謝料も財産分与も金銭が問題となるものなので、明確に区別せずにまとめて、慰謝料も含めて財産分与することも可能です

 

財産分与の対象となるもの

どちらかの名義は関係なく、結婚後に取得した夫婦の共有財産のすべてが、財産分与の対象となります。

主なものは、現金や預貯金、株や国債などの有価証券、土地・建物などの不動産、ゴルフ会員権、自家用車、家財道具、高額な宝石・美術品・骨董品など。保険金、退職金、ローンや借金も考慮されます。

また、結婚前に貯めた預貯金、結婚前からの所有物、相続した財産、日常的に単独で使用しているもの、結婚前の借金などは、財産分与の対象となりません。これを、特有財産といいます。

現金、預貯金

現金や預貯金の場合、ひと目でその金額が分かるので、分与割合が決まれば、容易に分与を行うことが出来ます。また、株券や不動産などで財産分与を行うと税金がかかりますが、現金・預貯金の場合は原則的に非課税です。

株券

株券の場合、現金とは違い、時期によって評価額が変動します。そのため、どの時点の評価額で株券の分与を行うかが問題となります。

通常は、離婚成立時の評価額を目安にしますが、離婚前に別居をしていた場合は、別居開始時点での評価額を目安にする場合もあります。なお、株券の評価額が購入時よりも上がっている場合には、株券の名義人(株券を譲る側)に譲渡所得税が課せられます。

不動産

不動産についても、結婚後に取得したものが財産分与の対象となるので、親などからの贈与や相続で取得した不動産は特有財産となり原則として財産分与の対象とはなりません。

また、不動産による財産分与では、分与する側に譲渡所得税、取得する側に不動産取得税、登録免許税などの税金が発生します。株券と同様、離婚成立時、別居開始時点での評価額を算定します。

しかし、住宅ローンが残っている場合は注意が必要です。

持ち家や土地の価値がローンの残高を上回る場合(アンダーローン)は、ローン残高分を差し引いてもプラスの財産があるので、ローン残高分を差し引いた残りの金額分を夫婦で分け合います。

一方で持ち家や土地の価値がローンの残高を下回る場合(オーバーローン)は、ローン残高を差し引くと、持ち家や土地の価値が残らないばかりか、売却してローンの返済に充ててもまだローンが残ってしまう状態になります。
このような持ち家や土地自体が債務超過のマイナスの財産になる場合は、財産分与の対象外となります。

熟年離婚jyん日

退職金

退職金は、賃金の後払いという性質があります。そのため、すでに会社から退職金が支払われていたならば、それも夫婦の共有財産で財産分与の対象となります。ただし、対象となるのは、婚姻期間に対する金額部分だけとなります。

また、まだ支払われていない将来的な退職金に関しては、定年退職間近で退職金支払いがほぼ確実であるという場合は、財産分与に含めるのが一般的です。

しかし、定年退職まだ先の話という場合には、退職金が支払われるかどうか不確実なので、財産分与の対象にはならない場合がります。

生命保険

生命保険は、離婚前に満期を迎えているものであれば、財産分与の対象となります。その場合、夫婦どちらの名義の生命保険であっても関係ありません。

一方、満期前の生命保険は離婚時の解約返戻金を財産分与の対象とする方法が一般的です。
また、掛け捨ての生命保険は財産分与の対象となりません。

年金分割

争いになることは少ないものの、「年金分割」についても大きな関心事となります。

年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金の標準報酬(給与等・就労期間などから計算される、年金受給額算定の基礎となる額 )を多い方から少ない方に(多くの場合は夫から妻に)分割する制度です。

厚生年金の保険料は、給与等が高いほど多く納めることになるので、その分将来にもらえる年金も多くなります。

そのため、たとえば夫が会社員として働いて収入を得ており、妻が専業主婦である場合、将来は夫のみが厚生年金を受給することになります。しかし、保険料の納付には夫婦で同程度の貢献があったというべきです。

夫婦であれば、通常は夫婦の財布(家計)は一つであるため、夫婦のいずれか一方が全額を受給しても問題ないといえますが、離婚すれば財布は別々になるため、いずれか一方しか受給できないのは不公平です。共働きの場合でも、夫婦の収入に差がある場合は同様のことがいえます。

離婚後の生活に不安のある側としては、年金分割をすることにより将来もらえる年金が、年金分割をしない場合に比べて多くなることは重要なことといえます。

財産分与の進め方

➀財産をリストアップ

熟年離婚をする際、配偶者に対して財産分与請求を行うに当たっては、夫婦それぞれの財産をリストアップする必要があります。その際、財産隠しが疑われるようであれば、弁護士に対処法を相談しましょう。

➁財産分与協議

財産分与額や実際に移転する財産は、夫婦間の協議によって自由に決めることができます。離婚後の生活を見据えて、お互いにとってメリットがある財産分与の形を模索しましょう。財産分与に関する話し合いがまとまらない場合は、弁護士へのご相談をおすすめいたします。弁護士に相談すれば、双方の主張を踏まえた上で、適切な落としどころを見つけるためのサポートを受けられます。

相手が財産分与の請求に応じない場合、「離婚調停」「離婚訴訟」「財産分与請求調停・審判」の手続きを取ることも可能です。調停・訴訟・審判のいずれの手続きによる場合でも、適正な条件による財産分与を受けるには、弁護士に代理人を依頼するのがおすすめです。

熟年離婚は、婚姻生活が長期間に及んでいるので、財産が複雑になっていたり、高額になっていたりして、財産分与で揉めてしまう方はたくさんいらっしゃいます。
また、共有財産なのか、特有財産なのか、どちらかわからないという方も見受けられます。熟年離婚時の財産分与でお困りのある方は、ぜひ半田みなと法律事務所の離婚事件経験の豊富な弁護士にご相談ください。