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2023.09.13 遺産相続・成年後見企業法務

資産家にとっての資産承継、事業承継

資産家にとっての資産承継、事業承継

資産家にとっての資産承継・事業承継

資産家は多くの資産を所有しており、その資産の全てを自分の生涯だけで消費しきることは困難です。このため、富裕層が資産防衛・保全を考えるとき多くの場合、自分が生きている間だけでなく、自分の子・親戚への承継や、社会貢献のための寄付などに使われることを望むことが多いです。また、富裕層の多くは事業を営んでおり、従業員はじめ様々な利害関係者が存在します。そして、自分の資産のほとんどを自社株が占めるようなケースもあり、自分の死後自社株の価値が暴落することは避けたいと考えるでしょう。

遺産は、遺言書がなければ法定相続人に、法定相続分にて相続されます。自分の望む形での資産継承には遺言書は不可欠です。仮に、法定相続分に従った割合で承継させるということで構わないとしても、誰がどの資産を相続するかは、残されたファミリーで遺産分割協議が必要になります。協議では、ある遺産の評価額はいくらとするか、売却する手間があるものは欲しくない、など相続人それぞれに資産に対する考え方が異なるため、対立が起きやすいのです。一人でも対立する者がいれば、最終的には裁判手続きでしか解決できなくなります。
したがって、法定相続分にしたがった割合で法定相続人に承継させることで構わないと考えるとしても、自分の家族が自分の財産や事業をめぐって、自分の死後紛争状態に陥るという悲惨な事態を避け、ファミリーガバナンスを維持し、しかるべき相続税に係る恩恵を受けるために、あらかじめどの財産を誰にどのように相続させるかを決めた遺言書を作成します。
しかし、富裕層の遺産には様々な資産が含まれており、たとえ遺言書があったとしても、相続人の中には不公平感や反感を持つ者が現れる場合があります。これらの者が、遺言の無効を求めるなど法的手続きを行い、紛争化する場合があります。

また、事業承継の場合では、自社株を特定の後継者に承継させようとするとき、非後継者が遺留分侵害額請求といった法的手続きを行い、紛争化する場合があります。また、親族外の者との関係でも、事業承継では、後継者を気に入らない古参従業員からの反発、派閥争いによる後継者の追い出しといった問題が起こる可能性があります。
なお、事業承継や資産承継は、個人資産に大きな変動があるため税務調査の候補となりやすいです。承継に関する税務面での手法について、生きている間にその知識や理解を専門家と綿密に共有しておくことが必要です。
自身が形成してきた資産や、成長させてきた事業を、自らの遺志を正しく伝えるために、遺言書の作成はもちろんのこと、遺言書の作成のみでは不十分である点への対策を行うことが重要です。