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2020.12.21 インターネット問題子ども・学校問題刑事事件

インターネットにおける名誉毀損

インターネットにおける名誉毀損

SNSにおける名誉毀損

名誉毀損とは人の社会的評価を低下させる表現行為ですが、実名による投稿が推奨されているようなSNSにおいて名誉毀損記事の投稿があった場合、金銭的な賠償を求めるほかに、投稿記事の削除を求めることが考えられます。しかし、実名は把握できても住所が不明であったり、ハンドルネームの使用により実名の把握すら困難であったりする場合は、SNS事業者に対する発信者情報開示請求手続きにより投稿者を特定した上で、投稿者を被告として削除を請求することになります。記事の削除請求は、人格権としての名誉権に基づく妨害排除・予防請求権と位置付けられており、表現の自由の重要性から慎重な判断が求められます。

他に、名誉回復処分としてSNS上に、「名誉を毀損し、多大なるご迷惑をお掛けいたしましたことを心からお詫び申し上げます」などのように謝罪広告を掲載するよう求めることも考えられます。この謝罪広告などの名誉回復処分は、あくまで金銭賠償の例外であるため、金銭賠償が認められることにより、名誉回復処分の必要性が失われたと判断され、謝罪広告の請求が棄却されることもあります。また、SNSにおける公開範囲が制限されていてその閲覧者数が制限されているような場合には、謝罪広告の必要性が否定されることもあり得るでしょう。

SNSにおいては、ユーザが投稿した記事を特定の者のみが閲覧できる設定がなされているような閉鎖的なコミュニティであっても、コミュニティのメンバーが第三者に伝える可能性も否定できず、SNS上の記事はコピー&ペーストや転送が極めて容易なことから、名誉毀損表現が広く伝わることとなります。そのため、刑事上は名誉毀損罪、民事上は名誉毀損の不法行為が成立する可能性があります。

 ネット掲示板

ネット掲示板で行われた場合でも、ネット以外の場合と同様に、刑事上は名誉毀損罪、民事上は名誉毀損の不法行為が成立する可能性があります。掲示板上で名誉毀損行為を行った投稿者に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求や名誉毀損罪での告訴を行うことが可能です。しかし、名誉毀損の成立が否定され、あるいは違法性が阻却される場合には、投稿者に対して法的責任を問うことができないことがあります。

掲示板管理者については、プロバイダ責任制限法により、以下の要件を満たさない場合には損害賠償責任について免責される旨が定められており、損害賠償請求を行うには一般的な要件の外に以下の要件を満たすことを被害者側で主張立証する必要があります。

  • 権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能なこと。

  • 当該通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていた時又は当該通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

掲示板上に名誉毀損表現が掲載されたままであると名誉毀損の被害が継続することになります。そのため、人格権としての名誉権に基づく差止請求として、名誉毀損に該当する記載の削除請求が可能です。また、ネットの掲示板においては、匿名での書込みが可能で、加害者を特定する必要があり、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求も可能となります。

被害者の特定

対象を特定しないで誹謗中傷する投稿によっては、民事・刑事ともに名誉毀損は原則として成立しません。しかし、名誉毀損の成否は、「一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容」によって判断されます。実名の一部を伏せ字にして誹謗中傷する記事を投稿された場合など、一見すると対象を匿名化したように見える誹謗中傷の投稿であっても、一般読者の読み方として投稿内容と伏せ字から特定人を誹謗中傷する投稿と読まれる場合には、特定人に対する名誉毀損が成立し得ることになります。また、ある地域住民全体を悪質なイメージで差別する投稿をされた場合、その地域の住民であることを理由にその社会的評価の低下が実際に生じることとなり、表現の文脈における特定の程度次第では、地域住民に対する名誉毀損の成立する余地があるとされます。

匿名の書き込みでも、弁護士に依頼いただくことで、書き込んだ人を特定し、損害賠償請求や削除の請求をすることが可能となります。インターネット上での誹謗中傷などでお悩みの方は、半田みなと法律事務所にお気軽にご相談ください。