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2020.12.14 インターネット問題子ども・学校問題

いじめの刑事手続きと救済給付金

いじめの刑事手続きと救済給付金

「いじめ」と言っても、様々なものがあります。無視や悪口だけでは刑事責任を問うことは難しいですが、その態様によっては犯罪となる可能性があります。暴力をふるわれたら暴行罪が成立し、暴行の結果怪我をすれば傷害罪が成立します。脅迫しやりたくないことを無理やりやらされたのであれば強要罪、金銭等の授受があれば恐喝罪、最悪、いじめられている子どもの人命が奪われれば傷害致死罪または殺人罪などが成立します。実行していない場合でも、上記のような犯罪が成立するいじめを主導したり、唆したり、助けたりした人物がいれば、その人物も、上記の犯罪の共犯、教唆犯、ほう助犯となります。

刑事手続

いじめを受けた被害生徒または保護者は、警察などの捜査機関に被害届を提出または告訴することができます。被害届も告訴も被害を受けた人が行う点で共通していますが、告訴は捜査機関に対して犯罪を申告し、処罰を求める意思表示であるのに対し、被害届はそれを提出したことにより、法律上所定の効果をもたらすようなことはありません。また、告訴権者は法律上限定されていますが、誰でも犯罪があると思料するときは告発することができ、クラスメートがひどいいじめにあっており、そのいじめが犯罪に該当すると考えられる場合、第三者である同級生なども捜査機関に告発することができます。

いじめを受けたとして告訴を行う場合、その受けたいじめの証拠を保全しておくことが重要です。怪我をして診察を受けた場合は医師の診断書を入手する、いじめについての状況を記録に残すなどが考えられます。被害生徒にとって、辛い経験を記録に残すことは容易ではありませんが、こうしたことが告訴を行うにあたっては有用な手段となります。

告訴・告発を受けた捜査機関には捜査義務が生じ、被害生徒も事情聴取を受けることになります。既に精神的・肉体的に傷ついているところに更なる心理的負担が強いられ、被害生徒にとっては非常に辛い状態になることから、2次被害への配慮が重要になっていきます。捜査段階では、加害生徒のみならず、目撃証言などの証拠収集のため事情聴取は同級生や学校長、教師などの第三者にも及び、加害生徒側が自ら非を認めることは考えにくく、いじめに起因する刑事手続となると被害生徒と加害生徒を含む学校との関係が悪化することが考えられます。

共済給付金

学校におけるいじめが原因の負傷や疾病といった被害の発生に関しては、独立行政法人日本スポーツ振興センター所管の災害共済給付制度を利用することができる可能性があります。この給付制度を受けるには、いじめが学校事故として認定された場合は当然対象となりますが、いじめが学校の管理下(授業中、休み時間、学校行事中、部活動などの課外活動中、登下校中など)で行われたものであり、自殺(未遂)との原因であるいじめとの因果関係などが認められれば、自殺(未遂)の場所が、学校の管理下であるかを問わず対象となりえます。

いじめの告訴をすることにより、被害生徒を取り巻く環境は一変し、転校や引っ越しを余儀なくされることもあります。家族でよく相談した上で告訴などの手段を取るなどし、我が子を守ってあげることが大切です。また、法務省や警察においていじめの相談窓口が設けられています。早めにいじめの被害から逃れられるように相談窓口を利用するなどしましょう。

いじめに対する刑事手続きについてご不明な点がある方は半田みなと法律事務所にご相談ください。