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2021.04.19 労働問題(個人)労働問題(法人)

就業規則

就業規則

就業規則

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、「就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないと労働基準法89条で定められています。就業規則を作成する際には、会社の規模に合っているか、今後事業を拡大した場合でも使えるものかどうかという点に気を付ける必要があります。また、労働者の人数が10人以下で、就業規則を作成する必要がない場合でも、まずは懲戒事由などの必要な記載事項だけの就業規則を作成しておき、会社の発展に対応して、徐々に必要な事項を追加していく方法も考えられます。

就業規則を作成または変更する際には、労働者から意見を聴取しなければなりません。労働基準法90条1項で、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」とされています。

意見聴取の手続きの趣旨は、労働者に内容を確認させ、一定の範囲内で意見を陳述する機会を与えることですから、、労働者の同意を得たり、協議したりする必要はありません。就業規則を作成または変更した際は、事業所を所轄する労働基準監督署長宛に届出を行います。届出の際には、聴取した意見を記載した意見書を添付する必要があります(労働基準法90条2項)。

さらに、使用者は届け出た就業規則を①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける、②書面を労働者に交付する、③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が記録の内容を常時確認できる機器を設置する(例えば、パソコンなどでデータとして記録し、従業員がいつでもアクセス閲覧できるようにする)、これらいずれかの方法によって周知しなければなりません。

 異なる労働条件

個々の労働者との間の労働契約で、他の労働者と異なる労働条件を定めたとしても、就業規則で定める基準に達しない場合には無効となり、就業規則で定める基準によることとなります。そのため、就業規則を作成する際には、事業場の労働条件の最低基準を前提に作成するよう注意する必要があります。多くの企業では、正規社員のほか、非正規社員や、正社員の中でも勤務地、時間、勤務内容が限定された限定正社員等、様々な雇用形態の従業員が存在します。それぞれの雇用形態に対応した就業規則の定めておかないと、すべての従業員に正規社員の就業規則で定めた基準によることとなってしまいます。

非正規社員

就業規則の作成義務は、正規社員のみならず、パートタイムや有期契約労働者等の非正規社員にも及ぶので、事業所の全労働者について就業規則を定め、所定の手続きを経る必要があります。非正規社員について、正社員と異なる労働条件を定めることは、法令上、義務付けられていない事項です。非正規社員と正規社員との処遇の差を設けることについては、均等待遇・均衡待遇の考えに基づく規定や判例法理が確立されているため、具体的な職務内容や勤務体制を前提として、処遇に差を設けること、及び差異の程度について、合理性を慎重に検討する必要があります。

正規社員や非正規社員(パートタイム社員、アルバイト社員、契約社員、嘱託社員等)について、法律上明確な定義がないため、会社における定義付けをし、それぞれに応じた規定を作成すべきです。また、採用時の労働契約において、どの種類の従業員として雇用するのかを明示し、どの就業規則が適用されるのかを明確にする必要があります。実際の業務においても、異なる労働条件を定めている従業員は明確に区別し、雇用形態に応じて定められた職務内容や勤務体制から逸脱しないよう、適切な労働管理をすることが重要です。

就業規則の作成や運用に関して、ご不明な点がございましたら、お気軽に半田みなと法律事務所にご相談ください。