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Category残業代請求について
労働時間と休憩時間は区別していますか?
使用者(会社)は労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと法律で定められています。しかし中には労働時間に含まれないはずの休憩中に顧客対応等を余儀なくされるケースもあるかと思います。休憩時間には労働者が自由に行動出来なければいけません。(→電話・来客等の対応をしなくてよいのが本来の休憩時間です。) ここでは過去の判例で労働時間と認められたケースをご紹介します。ぜひあなたの日頃の業務環境を想像しながら読んでみて下さい。
仮眠時間
例えば泊まり込みでのビル設備管理業務では、仮眠室で仮眠は出来るものの、突発の事態には対応しなければなりません。仮眠時間においても労働者が実作業に従事していないという理由だけでは、会社の指揮命令下から離脱しているとは言えず、労基法上の労働時間として認められたケースもあります。(H28.2.14最高裁判決)
空いてる時間に適宜休憩
美容院や飲食店に勤務されている方にありがちな休憩時間の取り方かと思います。 「客が途切れた時などに適宜休憩してもよい」という会社からの指示でバックヤードで休憩している時に、現に客が来店したら即時その業務に戻らなければならない職場環境の場合は注意が必要です。 完全に労働から離れる事を保障出来ておらず過去には労働時間として認められた事例が多数出ています。
準備、朝礼(体操)、後片付けは業務?
例に挙げたような事柄が始業開始前に行われていた事例(出席が義務付けられたり、明示・黙示の業務上の指示によるもの)に対して時間外労働と認められたケースがあります。また、制服着用等準備時間が労働時間とされた事例では事務所で着替えた後に作業現場まで1時間移動した場合に、移動時間の1時間が労働時間として認められた判決もあります。 参加が必須である事が多い朝礼・ミーティング等が勤務時間内に行われていなかった場合、それらに要する時間やタイムカードの打刻履歴・参加回数などが資料として有用となります。
移動時間(訪問介護労働者のケース)
利用者の自宅を訪問して医療・介護等を提供するお仕事内容では、利用者宅間を車で移動するケースがほとんどかと思われます。この様な訪問業務に対して、厚労省が移動時間を労働時間として適正に把握するよう指示しています。 例1)事業所→利用者宅に要した時間 例2)利用者A宅→利用者B宅へ要した時間 これらは全て労働時間に含まれます。 労働時間を証明する様々な証拠 残業代請求を行う上で重要なのが「労働時間の証明」です。皆さんがまず思い浮かべるのが出退勤時に打刻するタイムカードではないでしょうか。中には退勤の打刻を行った後に業務を続けて行っていたり、違法ですが上司が手入力していたり等あるかもしれません。
そこでこのコラムでは、タイムカード以外にあなたの労働時間を証明する手段となり得る記録をご紹介します。
業務日報の記載時刻
単に時間だけではなく業務内容が記載されている場合もあり、労働時間立証の重要な証拠になり得ます。日頃から記載者欄・記載時刻の記入を怠らないようにしておきましょう。
事業所の警備システムの作動・解除記録
労働者自身が警備システムの解除・作動を行っていた場合は、作動の時刻と労働時間に一定の関係を認められ時間外労働として請求が認容されたケースもあります。
コンピューター上のログイン/アウト記録
タイムカードで退勤時間を打刻後にPCを使用して業務を行っていた場合、コンピューターのログイン/アウト時刻やメールの送信記録、データの保存時刻などから労働時間を認定した判例もあります。最近増えているリモートワークにおいても、特に重要な証拠・記録になり得ます。
タコグラフ
トラック/バスなどの運転手については自動車のタコグラフ(運行記録計)を使用して労働時間を立証した事例もあります。デジタルタコグラフでは休憩と待機を区別せずに1つのボタンで記録するものも多いので注意が必要 です。普段から自分で走行/待機/休憩を区別して記録しておくと良いとされています。
完全な証拠が揃わなくても諦めない。
最後に、残業代請求の訴訟においては提訴の際に必ずしも完全な証拠が揃っているケースは決して多くはありません。訴訟後に会社側に証拠開示をさせる中で立証に成功する事例が数多くあります。 ※会社側にはタイムカードや出勤簿等の保存義務(3年)があります。 賃金請求権は3年と短い 給与の支払日から3年が経過すると残業代を請求する権利が消滅してしまいます。(会社の保存義務も3年)残業代請求の方針が決まったら直ちに会社に対して「催告」して時効を止めなければなりません。 この時、金額を厳密に計算する必要はなく、請求者を明確にし債権の種類と支払期(いつからいつまでの賃金についてか)を特定して請求すれば時効中断の為の催告としては十分とされています。(会社には証拠開示義務がある為、開示された情報を元に請求金額を厳密に計算します)
残業代請求に必要な資料
- タイムカード等労働時間証明の資料
- 変形労働時間制に関する資料 ・変形労働時間制に関する労使協定書業務シフト表、業務カレンダー
- 求人票、募集要項 ・ 所定休日日数や所定労働時間等、労働条件や賃金の性質を裏付けることが出来る重要な証拠にもなり得ます。
- 給与明細書(賃金支払い状況の裏付け)
弁護士との打ち合わせで教えて欲しいこと
- 職務内容 (残業発生理由・管理監督者該当の有無)
- 大ざっぱな残業時間と理由 (1日○時間、月△回程度)
- 労働時間の証拠の有無、入手の可否
- 賃金形態 月給、日給、時給、歩合制か(残業代の計算)
- 給与明細書と契約上の賃金対応関係の有無 除外賃金、固定残業代の特定
半田みなと法律事務所では、残業請求についてのご相談をお受けしております。諦めずに、一度ご相談くださいませ。弁護士がお力になります。お待ちしております。