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Category飲酒運転同乗者の責任について
平成19年の道路交通法改正により、飲酒運転の罰則が強化されたほか、飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供しまたは飲酒をすすめた者や、飲酒運転であることを知りながら自分を運送することを要求しまたは依頼して同乗した人についても罰則が設けられるようになりました。そして、飲酒運転により事故が発生した場合、被害者が、運転者に対してだけではなく、運転者に飲酒をすすめたり、運転者と共に飲酒した人の損害賠償責任を追及する事例がみられるようになっています。もっとも、運転者と共に飲酒したからといって当然に責任が肯定されるわけではなく、運転者の飲酒運転を制止すべき注意義務を怠ったと評価することができる場合に責任が肯定されることになります。
どのような場合に飲酒運転を制止すべき注意義務が発生するのか、裁判例
①運転者が飲酒後に運転することを認識していたかどうか。
②共に飲酒した時間や飲酒量
③運転者が酒に酔い、正常な運転ができない状態であることを認識していたかどうか。
④運転者との人間関係(友人、上司・同僚等)
⑤同乗の有無および同乗の経緯等の事情を考慮して、注意義務発生の有無を判断していると思われる。
責任を肯定したものでは、①運転者が酩酊のため、他人所有の自動車の操作を誤り、その車を損壊した場合に、飲酒直後に自動車の運転者となる者であることを知りながら酒を提供して飲酒をすすめ、運転者が酩酊した状態で運転するのをあえて制止せずに同乗した者は、直接にその運転行為に関与していなくても、酩酊運転による事故発生に客観的共同原因を与え、飲酒をすすめた行為と自動車損壊との間には相当因果関係があるとして、共同不法行為責任を認めたものや、②同乗者Bは、運転者Aと共に長時間飲酒し、Aが相当程度飲酒していることをわかっていながら、運転を制止するどころか、自宅に送ってもらうよう頼んでAに自動車を運転させ、その結果、Aは正常な運転が困難な状況で運転し、赤信号を見落として事故を起こした場合に、Bが加害行為を援助、助長したことは明らかであるとして、責任を認めた裁判例があります。
責任を否定したものでは、飲酒運転をして事故を起こしたAと共に飲酒した同乗者Bにつき、Aが自動車を運転するのを知り、または知り得べき状況のもとで飲酒を共にしたものではなく、かつ酒を提供したり積極的にすすめていたわけではなく、飲酒後運転もAのほうから勧誘し、能動的にしたものであって、しかもその際Aがほとんど変わった様子がないような場合には、自動車の運転を制止し、あるいは同乗を拒否する義務まではなかったとするものがあります。
また、同乗していない者については責任を否定するものが多いと思われますが、共に飲酒をした知人が自動車を運転することを具体的に予見できるのに運転を制止しなかった場合は責任を肯定するものもみられます。例えば、Aが会社の同僚のB、C、会社の取引先社長Dらと飲酒後、自動車を運転して帰宅途中、仮眠状態に陥って引き起こした事故について、Aと長時間にわたって飲酒を共にし、Aが正常な運転ができない程度の酩酊状態にありながら自動車を運転して帰宅することを認識できたのに、代行運転を頼むことを促すにとどまり、自らタクシーや代行運転を呼ぶことなく、Aを駐車場に残したまま、Cの運転する自動車に同乗して帰宅したBに、Aの飲酒運転をほう助したものとして責任を認めたものがあります。
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