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2023.02.24 交通事故・労災

労災の死亡事故

労災の死亡事故

労災の死亡事故・仕事の事故で家族を亡した

仕事中の事故で家族が亡くなってしまった…そんなことがあるかもしれません。業務中または通勤中の事故によって労働者が亡くなった場合、遺族に対して労災保険から遺族(補償)給付が給付されます。労災保険は業務中または通勤中の怪我、疾病、死亡について補償してくれます。しかし労働者が亡くなっている場合は自分で労災補償を受け取ることができません。そのため、労災によって労働者が亡くなった場合はその家族が遺族補償給付金を受け取ることになります。

遺族が受け取ることができる労災保険給付の種類

ご家族が労働災害で亡くなった場合、労災保険から遺族(補償)給付および葬祭料(葬祭給付)を受けることができます。遺族(補償)給付には、①「遺族(補償)年金」と②「遺族(補償)一時金」の2種類があります。(業務災害の場合は「遺族補償給付」、通勤災害の場合は「遺族給付」といいます。)

①遺族(補償)年金

労働者が亡くなった当時、その収入によって生計を維持していた場合(共働きで生計の一部を被災労働者が維持していた場合も含む)に遺族などに対して給付されます。

遺族(補償)年金

労働基準法上の平均賃金を「給付基礎日額」(労災事故日の直前3か月間に支払われていた賃金総額を日割りした金額。ボーナスを除く。)として、一定日数分が支給されます。受給資格のある遺族数に応じて金額が異なり、年金であるため受給権者である間は毎年継続的に受給できます。

遺族特別支給金(一時金)

遺族の数にかかわらず、遺族特別支給金は一律300万円が支給され、一回限りの支給となります。

遺族特別年金

労働者が亡くなる以前の1年間に支払われていた特別給与(給付基礎日額から除外されるボーナスなど、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金)を日割りした額を「算定基礎日額」として、一定日数分が支給されます。こちらも上記の遺族(補償)年金と同様に、受給資格のある遺族数に応じて支払われる金額が異なり、受給権者である間は毎年継続的に受給できます。なお、遺族(補償)年金は、労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効により請求できなくなります。

遺族数 遺族(補償)年金 遺族特別支給金 遺族特別年金
1人 給付基礎日額の153日分

(遺族が55歳以上の妻または一定の障害のある妻の場合は給付基礎日額の175日分)

300万円 給付基礎日額の153日分

(遺族が55歳以上の妻または一定の障害のある妻の場合は給付基礎日額の175日分)

2人 給付基礎日額の201日分 給付基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分 給付基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分 給付基礎日額の245日分

 

②遺族(補償)一時金

以下の①②のいずれかに該当する場合に、労働者の配偶者などの遺族に対して一時金が給付されます。

①被災労働者の死亡当時に遺族(補償)年金を受ける遺族がいない
②遺族(補償)年金の受給権者が最終順位者まですべて失権した時点で、遺族(補償)年金および遺族(補償)年金前払一時金(※後述)の給付額の合計が、給付基礎日額の1000日分に満たない場合

遺族(補償)一時金

①の場合 ⇒ 給付基礎日額の1000日分の金額が支給されます。
②の場合 ⇒ 給付基礎日額の1000日分から、すでに支給された遺族(補償)年金および遺族(補償)年金前払一時金がある場合は、その金額を差し引いた金額が支給されます。

遺族特別支給金

①の場合 ⇒ 遺族の数にかかわらず、遺族特別支給金は一律300万円が支給され、一回限りの支給となります。
②の場合 ⇒ 支給はありません。

遺族特別一時金

①の場合 ⇒ 算定基礎日額の1000日分の金額が支給されます。
②の場合 ⇒ 算定基礎日額の1000日分から、すでに支給された遺族特別年金がある場合は、その金額の合計額を差し引いた金額が支給されます。なお遺族(補償)一時金も、被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効により請求できなくなります。

①の場合

遺族(補償)一時金 遺族特別支給金

遺族特別一時金
算定基礎日額の1000日分 300万円 算定基礎日額の1000日分

 

 

②の場合

遺族(補償)一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金
給付基礎日額の1000日分からすでに支給された遺族(補償)年金などを差し引いた金額 給付基礎日額の1000日分からすでに支給された遺族(補償)年金などを差し引いた金額

 

(3)葬祭料(葬祭給付)

葬祭を執り行った遺族などに対して、葬祭料(葬祭給付)が支給されます。「給付基礎日額の60日分」と「給付基礎日額30日分に31万5,000円を加えた額」のいずれか高い方が、葬祭料(総裁給付)として支給されます。葬祭料(葬祭給付)は、被災労働者の死亡日翌日から2年経過すると、時効により請求できなくなります。また、葬祭料(葬祭給付)の受給対象者は遺族のみに限られておらず、遺族がいなく、友人や会社などが葬儀を執り行った場合には、遺族以外でも、葬儀費用を実際に支出した人に支給されます。

誰が遺族補償を受け取れるのか

遺族(補償)年金の受給資格者

遺族補償年金を受けとることができる遺族は、労働者が亡くなった当時、その収入によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。妻以外の遺族については、労働者が亡くなった当時、一定の年齢にある、あるいは一定の障害状態(障害等級第5級以上の身体障害)にあることが必要とされています。

下記のいずれかに該当する者が受給資格者となりますが、実際に遺族(補償)年金を受給できるのは、受給資格を有する遺族のうち、一番優先順位が高い人が受給権者になります。

  1. 妻、60歳以上または障害の夫
  2. 18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、一定障害のある子
  3. 60歳以上または一定障害のある父母
  4. 18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、一定障害のある孫
  5. 60歳以上または一定障害のある祖父母
  6. 18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、60歳以上または一定障害のある兄弟姉妹
  7. 55歳以上60歳未満の夫
  8. 55歳以上60歳未満の父母
  9. 55歳以上60歳未満の祖父母
  10. 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

遺族(補償)一時金の受給資格者

遺族補償一時金を受けとることができる遺族は、労働者が亡くなった当時、下記のいずれかの身分にあった者が受給資格者となります。最先順位者が受給権者となりますが、同順位者が2人以上いる場合は、それぞれで受給することができます。

  1. 配偶者
  2. 被災労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
  3. その他の子・父母・孫・祖父母
  4. 兄弟姉妹