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療養(補償)給付
療養(補償)給付とは、労災によるケガや病気の治療に関して、労災保険から行われる給付です。被災労働者は、労災指定病院等の指定医療機関にかかれば、無料で治療を受けられます。
療養補償給付は業務災害、療養給付は通勤災害の治療に関する給付のことをいいます。
労災(指定)病院
労災(指定)病院とは、業務中や通勤中に労働者がケガをしたなどの労働災害(労災)があった場合に、受診を推奨している病院のことです。健康保険制度による保険診療の場合、治療を受けると患者の窓口負担が発生します。しかし、労災保険の給付が認められた場合、治療費や入院費、通院費などの療養費は、労災保険から医療機関へ直接支払いが行われます。(=療養(補償)給付)
一方、労災指定病院以外で受診しても、労災保険から治療費を受け取ることは可能です。ただし、指定の医療機関でない場合は、窓口で一旦全額(10割)を負担した上で、別途手続きが必要となるので注意しましょう。
労災病院とは、厚生労働省直轄下の「独立行政法人 労働者健康安全機構」が運営しており、労働指定病院は、民間の医療機関が多く、都道府県の労働局長が指定した病院です。運営元が異なるだけで、労災保険が適用されれば労働者は窓口負担ゼロで受診できる点は共通しています。
労災病院、労災指定病院は、厚生労働省のサイトから検索することができます。
療養(補償)給付の手続き
- 労災(指定)病院での手続き「様式5号」
労災(指定)病院を受診する場合には、労災保険の申請書(様式5号)を作成して病院に提出しましょう。これだけで労災保険から病院へ治療費を直接支払ってもらえるので、自分で治療費を払う必要がありません。 - 労災(指定)病院以外の医療機関での手続き「様式7号」
労災(指定)病院以外の医療機関で治療を受ける場合は、以下の流れとなります。
- 病院の窓口で、自費で医療費を全額(10割)支払い、領収証を受け取る
- 労災の申請書を作成し、医師による証明を受ける
- 労働基準監督署へ、病院の領収証と請求書(様式7号)を提出する
- 指定して口座宛に診療費が振り込まれる
※労災(指定)病院以外の医療機関で治療を受けた後、費用の還付を受けられる「療養の費用の支給」の請求権は、費用を支出した翌日方から2年間です。時効が成立すると還付を受けられなくなるので、早めに請求を行う必要があります。
療養(補償)給付の支給期間
療養(補償)給付は、労災発生時から、医師による「治癒」の診断までの間に限り受給できます。
ここでいう「治癒」とは、傷病の状態が安定し、継続して治療を行ってもこれ以上改善が見込めない(症状固定)状態を意味します。症状固定により後遺障害が残り、認定された場合には、障害(補償)給付を受給することが可能です。
治癒の診断時期は、被災労働者に対する問診などを行ったうえで、主治医が決定します。治癒の診断後は、自分の判断で治療に通っても、治療費が自己負担となることに注意が必要です。
療養(補償)給付の補償内容
療養(補償)給付によって補償される費用は、労災によるケガや病気の治療・リハビリにかかった費用全般です。具体的には、以下のものが補償対象となります。
初診料、診察料、入院費、手術費、装具・器具購入費、リハビリ費、薬代、通院費、移送費など
通院費
通院費については、原則として自宅または勤務先から片道2㎞以上の通院で、以下のいずれかに該当する場合に限り支給対象となります。
- 同一市町村内の診療に適した労災指定医療機関へ通院した場合
- 同一市町村内に診療に適した労災指定医療機関がないため、隣接する市町村内の診療に適した労災指定医療機関で通信した場合
- 同一市町村内及び隣接する市町村内に適した労災指定医療機関がないため、それらの市町村を越えた最寄りの労災指定医療機関通院した場合
ただし、労働者の居住地または勤務先から片道2㎞未満の病院であっても、「労働者の傷病の状態から、交通機関を利用しなければ通院が著しく困難である」と認められる場合には、医療機関への通院費が給付されます。
薬代
院外処方で、労災保険指定薬局で薬を受け取る場合は、病院とは別に、薬局分の申請書(様式5号)の原本を提出する必要があります。指定外の薬局の場合は、様式7号の提出が必要です。
多くの方が労災に遭うのは初めてで、不安になることも多いことでしょう。会社には労災申請の手続きに協力する義務があるものの、社内担当者が労災に不慣れ、労災隠しなどの理由で、適切に対応してもらえない場合もあります。労災保険の給付申請手続きでお困り方は、労働問題に詳しい弁護士へご相談ください。