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2023.01.27 子ども・学校問題

児童虐待と要保護者児童

児童虐待と要保護者児童

児童虐待

児童虐待は、子どもの心身の成長及び人格形成の段階において、子どもに回復しがたい重要な影響を与えるものであるため、子どもに対する最大の人権侵害であるといっても過言ではありません。また、被虐待経験のある者がその子どもに虐待してしまうなど、虐待という負の遺産は次世代へ引き継がれてしまうという、親子に渡る「虐待の連鎖」の可能性もあるのです。
児童虐待防止法は、児童虐待の定義規定を設けるとともに、何人も児童に対して虐待してはならないこと、国及び地方公共団体に児童虐待防止のため必要な体制の整備などをする責務があることを明記しています。児童虐待防止法は、「児童虐待」を保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)がその監護する児童(18歳に満たない者)について行う次に掲げる行為という規定をしています。

  • 身体的虐待:児童の首を絞める、殴る、蹴る、熱湯をかける、冬戸外に長時間閉め出す、たばこの火を押し付けるといった行為ですが、外傷を生じる行為に限りません。
  • 性的虐待:直接的な性的行為を強要することに限らず、性器や性交を見せるなどの行為、ポルノ写真を撮る行為などを含みます。
  • ネグレクト:食事を与えない、着替えをさせず不潔な環境に置く、病気の児童を医者に診せない、家に閉じ込めて学校に行かせない、乳幼児を車の中に放置する、他の保護者(養父など)による暴力などを放置するといった行為などです。
  • 心理的虐待:言葉による脅かし、児童を無視する。拒絶的な態度をとる、兄弟間で著しく差別的な扱いをする、子どもの面前で配偶者などに対する暴力を振るう行為などです。

児童虐待は家庭という密室内で行われ、特に最近では、子どもが着衣した状態では見えないところに傷を負わせたり、虐待の事実を子どもに口止めしたりと陰湿な虐待が増えているといわれています。児童虐待の通告対象の範囲が「虐待を受けた児童」から「虐待を受けたと思われる児童」に拡大され、児童虐待を理由とする児童相談所への通告にあたっては、「疑わしくは保護」という姿勢で臨むことが求められているといえます。虐待の証拠を示す必要はなく、虐待の証拠が持てない場合であってもその疑いがあれば、児童相談所に子どもの保護を求めることができます。また、早期発見が重要であることから、児童虐待防止法は、児童に身近な学校関係者、児童福祉施設の職員、虐待被害にあった児童を接する機会の多い医療関係者、弁護士などに対して早期発見の義務努力を課しています。

要保護児童

児童虐待が大きな社会問題としてマスコミにも取り上げられるようになった近年では、児童福祉の中でも、児童虐待の防止は重要な課題となっています。子どもの権利条約では、「一時的もしくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められていない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する」と規定しています。要保護児童に対する国の援助は、国際的にも必須のものとなっており、「児童福祉法」が種々の規定を設けています。要保護児童とは、「保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童」であると定義され、要保護児童を発見した者は、福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならないとされています。
要保護児童に対しては、児童相談所が中心となって保護及び援助を行うことになっており、児童相談所は、都道府県が設置する児童福祉の専門機関ですが、児童相談所の中には一時保護所を設けているところも少なくありません。児童福祉に関して主に、関係機関との連絡調査を行い、各地域の実情を把握し、児童に関する相談に応じ、児童及び家庭につき必要な調査・判定・指導を行い、一時保護を行うほか、都道府県知事からの委任により入所措置を行う権限、家庭裁判所に対し親権喪失、親権停止若しくは管理県喪失の審判の請求や未成年後見人選任などの請求を行う権限を与えられています。その他、児童福祉審議会、児童委員、里親、子供シェルターなど要保護児童に関係する機関はたくさんあります。