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法廷相続人
相続をすることができる者は、民法で定められており、法定相続人と言います。人が死亡して相続が発生する場合、亡くなった者を被相続人、法律上相続する権利のある者を想像人と言います。
養子の場合
養子は、養子縁組の日から養親の嫡出子である身分を取得します。つまり、養子縁組をすると養子は、実子とまったく変わらない立場になります。養子縁組の制度には、①普通養子縁組と②特別養子縁組の2種類があり、これによって養子縁組後の実親との関係が異なります。
- 普通養子縁組は、いわゆる一般的な養子縁組のことで、養親と養子の間に新たな親子関係が生じますが、実親との親子関係も消滅しません。つまり、養子は養親が死亡した時に法定相続人になるだけではなく、実親が死亡した時にも法定相続人になります。
- 特別養子縁組は、子の利益のため特に必要がある時に、養親の請求に対し家庭裁判所の決定により成立します。この養子縁組をすると子と実親との法律上の親族関係は消滅するため、法律上は実親との関係は他人同然となり、互いに相続人にはなりません。
未成年の場合
自然人の権利能力は出生により認められていますので、たとえ未成年の子であっても、相続の権利を有しています。未成年者が法律行為を行う場合は、通常は、親権者が未成年者の法定代理人として法律行為を行います。
原則、子の法定代理人は親であり、例えば、子の父親が亡くなった場合、母親が子の法定代理人として自分自身と遺産分割協議をすることになってしまい、利益相反が生じ、子の相続人としての利益が損なわれてしまう恐れがあります。そのため、親権を行う父または母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に申し立てなければなりません。これにより、遺産分割協議は、親権を行う親と子の特別代理人との間で行われることになります。
特別代理人の選任については、親権者または利害関係者が、子の住所地の家庭裁判所に特別代理人選任の申立てを行います。子が2人以上いる時は、1人ずつそれぞれに選任の申立てを行います。家庭裁判所から選任された特別代理人は、審判の書面に記載されている決められた行為についてのみ、代理権などを行使することができ、審判に記載されていない行為については、代理などをすることができません。また、家庭裁判所で決められた行為が終了したときは、特別代理人の任務は終了します。
内縁の配偶者の場合
被相続人の配偶者は常に相続人となり、婚姻は、戸籍法の定めるとことによってその効力を生じます。そのため、結婚式を挙げ、親族も近所の人も夫婦と認め、どんなに仲が良かったとしても、法律上有効な婚姻、つまり婚姻届を提出していなければ、内縁の配偶者は相続人とはなりません。逆に、いくら夫婦仲が悪くても、別居中でも、離婚調停や裁判中であっても、戸籍上の夫婦である間は、配偶者には相続分があります。
内縁の配偶者が全く相続に関与しないというわけではなく、一定の場合には財産の承継などが認められ、保護される場合があります。借家人が相続人なしに死亡した場合、その借家に居住していた内縁の配偶者には、借家権の承継が認められます。また、相続人が誰もいない場合において、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者など、被相続人と特別の縁故があった者がいれば、その者に相続財産の全部または一部が与えられる場合があります。したがって、事実婚のパートナーであった被相続人に相続人が誰もいないという時には、内縁の配偶者は、これによって相続財産の全部または一部を承継できる可能性があります。
内縁の配偶者も全くの無権利ということではありませんが、保護の及ぶ範囲は限られています。内縁の配偶者に確実に自分の財産を承継させたい場合は、遺言を作成して、遺贈する方法をとることになります。その際、遺言書で指定する内容については、法定相続人の遺留分を損害しないよう十分に検討し、死後に相続人らとの間で紛争が生じないように配慮することが必要です。
半田みなと法律事務所では、法廷相続人のご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。