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2023.01.12 インターネット問題

ネットオークション

ネットオークション

ネットオークション

インターネットオークションサービスとは、インターネットオークションサービス事業者が利用者に対して、インターネットオークションを行うためのシステムを提供するという、役務提供型サービスです。通常は、インターネットオークションシステムの利用に関して「利用規約」が定められており、①法禁物出品や、自己入札などのオークションサービスの運営に支障を来たす行為を禁止すること、②利用規約に違反する行為があれば、インターネットオークションサービス提供事業者において、利用者のIDの停止などの措置を採ること、③その際にシステム利用料の返金を要さないことなどが定められています。そのため、利用者は利用規約に同意した上で、インターネットオークションを利用することになっています。

売主に対する法的責任

ネットオークションにより商品が落札された場合、出品者と落札者は売買契約を締結することになります。この場合、買主である落札者は売主である出店者に対し、売買代金支払義務を負います。
落札した商品(以下「本商品」)が不特定物か特定物かによって、買主である落札者が売主である出品者に追求できる方的責任の内容が異なってきます。本商品が容易に代替品を市場で調達できる不特定物である場合には、売主は瑕疵のないものを給付する義務がありますので、買主は売主に対し、債務の本旨に従った履行の請求として、瑕疵のない商品の給付請求又は瑕疵修補請求をすることができます。また、一般の債務不履行として、売買契約を解除し、又は損害賠償請求をすることができます。これに対し、本商品が市場から代替品を調達できないか、できるとしても当事者が本商品の個性に着目して取引をしたなどの特定物である場合、その物の給付によって債務の履行が完了したことになるので、債務不履行の問題とはなりません。しかし、買主は目的物の瑕疵により売買契約の目的が達せられない場合において、売買契約時に瑕疵について知らなかったのであれば、瑕疵担保責任に基づき売買契約の解除や損害賠償の請求をすることができます。

売主の担保責任を免除する特約、ノークレーム・ノーリターン特約

売主が出品物につき「ノークレーム・ノーリターン」表示を行った場合、一般に「商品に関して一切のクレームを受け付けず、返品も受け付けない」ということに合意する者のみ入札に応じる旨の売主の意思表示があったとされるものです。

ネットオークション事業者

ネットオークションの事業者は売買仲介のシステムを提供する立場であって、単に「場」を提供しているだけであり、売買契約の当事者にはなりません。そのため、落札者が事業者に対して当該商品の引き渡しその他、出品者が負うべき契約責任を追及することはできません。ただし、事業者は、取引の「場」を提供する以上、欠陥のないシステムを構築してサービスを提供すべき義務その他一定の注意義務を負っているのです。
オークションへの出品が売買の「申込」であれば、入札により意思表示が合致して売買契約が成立しますが、「申込の誘引」であれば、入札が「申込」であり、あらためて出品者が「承諾」の意思表示をして初めて売買が成立します。ネットオークションにおける売買成立時期は一律に決せられず、個別具体的な事情に応じて当事者の合理的意思解釈により判断するほかありません。
落札者は落札を撤回できない一方、出品者は落札者を削除することができます。出品者による恣意的な削除を抑制するため、削除の際には「落札者を削除する理由」として「出品者都合」または「落札者都合」に二者択一とされ、「出品者都合」の選択は自動的に出品者の「非常に悪い」評価となる仕組みとされましたが、落札者を削除するか否かの判断は出品者にも留保されています。また、出品しておきながら引き渡しと拒む出品者に対して、落札者が厳しい評価を行い、その評価を当該ネットオークション上に公開して次回以降に入札する人の参考に用いる「評価」制度があります。評価の公表により、落札者により悪評価を避けるために出品者が不合理な引き渡しを拒絶しないことが期待されるでしょう。