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2026.09.16 刑事事件

執行猶予を付けるには?付く可能性があるケースや獲得のポイント

執行猶予を付けるには?付く可能性があるケースや獲得のポイント

拘禁刑が言い渡された場合には刑務所に入り服役しなければいけませんが、執行猶予が付くと刑務所に入ることなく自宅に戻り、日常生活に復帰することができます。そのため、起訴された場合には執行猶予の獲得を目指すことが重要なポイントとなります。

執行猶予判決を獲得するためにはどうすればいいのでしょうか?今回は、執行猶予とはどんな制度なのか、執行猶予が付く可能性があるのはどんなケースか、執行猶予を付けるためのポイントなどについて解説します。

執行猶予とは?実刑判決との違い 

まずは、執行猶予とはどのような制度なのか、実刑判決との違いについて見ていきましょう。

執行猶予とは

執行猶予とは、起訴され裁判で有罪となり刑事罰を科された場合に、その刑罰の執行を一定期間待ってもらえる制度のことです。執行猶予が付けば刑務所に入らず逮捕前と同じ生活を送ることができ、猶予期間に別の罪を犯したりしなければ刑罰を受けなくて済みます。

執行猶予は裁判の判決で刑罰とともに言い渡されます。例えば裁判官が「懲役2年、執行猶予5年」と述べた場合、5年間犯罪行為をしなければ懲役に服する必要がなく、刑の言い渡しは効力を失います。執行猶予の期間は短くて1年、最長で5年です。

ただし、猶予期間中に別の罪を犯して実刑判決になると、執行猶予が取り消されて刑務所に服役することになります。また、執行猶予が付いた場合でも有罪判決となった前科が消えることはありません。前科は付きますが、執行猶予中は出勤も通学もでき家族と一緒に住み慣れた家で過ごせるため、早期の社会復帰を目指すことができます。

実刑判決との違い

判決で執行猶予が付かなかった場合は実刑判決となります。直ちに刑務所に服役する必要があり、会社から解雇されたり学校を退学処分となってしまったりすることも少なくありません。配偶者から離婚を求められる場合もあります。服役中に生活が大きく変化し、社会での居場所がなくなり再度罪を犯してしまうケースもあります。

なるべく早い社会復帰と更生を目指すためには、執行猶予を付けてもらうことが非常に重要です。

執行猶予が付く可能性があるケース

執行猶予 付ける

執行猶予を付けるためには、今回の刑罰が3年以下の拘禁刑(懲役・禁固)または50万円以下の罰金刑であり、かつ以下の条件のどちらかを満たすことが必要です。

  • 以前に拘禁刑以上の刑罰に処せられていないこと
  • 以前に拘禁刑以上の刑罰に処せられ、刑が終了した日から5年以内に拘禁刑以上の刑に処せられたことがないこと

上記の条件を念頭に、実際に執行猶予が付く可能性があるケースを4パターンご紹介します。

初犯または軽微な前科の場合

これまで拘禁刑以上の刑罰を受けたことがない場合(初犯)や前科があっても軽微である場合で、今回の刑罰が「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑」であれば、執行猶予が付く可能性があります。

ただし、初犯でも重大犯罪と判断される場合や、4年以上の拘禁刑や51万円以上の罰金刑を言い渡された場合などには執行猶予が付かず実刑判決となります。

再犯で5年経過している場合

前回の刑罰から5年以上犯罪に手を染めず真面目に生活を送っている場合には、執行猶予の対象になります。

具体的には、以下の3つをすべて満たす場合には執行猶予が付く可能性があります。

  • 拘禁刑以上の刑に処せられた前科がある
  • その刑の執行が終わった日またはその執行の免除を得た日から5年が経過している
  • 今回の刑罰が「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑」である

執行猶予中の再犯で酌量すべき情状がある場合

「前に拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間中に新たに別の罪で2年以下の拘禁刑の言渡しを受けたが、特に考慮すべき情状があるとき」には再度の執行猶予が付く可能性があります。

「特に考慮すべき情状」とは、例えば以下のような事情です。

  • 被告人の家庭環境や病気、障害などが犯行に影響を与えたと認められる
  • 被害者との間で示談が成立している
  • 被告人が犯罪の事実を認め反省・更生の姿勢を示している
  • 再犯防止のための更生プログラムや治療を受けている
  • 家族など身元引受人の監護体制が整っている
  • 前科の内容と今回の犯罪が大きく異なる

3年以上の拘禁刑でも執行猶予が付く場合も

通常、執行猶予が付く条件は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」ですので、3年を超える拘禁刑を言い渡された場合には執行猶予が付きません。しかし実際には、犯した罪の法定刑が3年以上の拘禁刑であっても、刑期を3年以下に引き下げ、執行猶予を付けられるケースも存在します。

例えば窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」ですが、被害者との示談が成立している場合や被害額が少ない場合などには、3年以下の拘禁刑で済むケースもあります。その場合は判決で執行猶予が付く可能性もあります。

また、刑事裁判には「酌量減軽(しゃくりょうげんけい)」という制度があり、被告人のために考慮すべき事情があれば裁判所の判断で刑罰を2分の1に軽減してもらえる可能性もあります。5年以上の拘禁刑でも酌量減軽が適用されれば2年6か月まで刑を軽くしてもらうことができ、執行猶予判決が付く可能性も出てきます。

執行猶予を付けるためのポイント

執行猶予 付ける

執行猶予を付けてもらうためには、考慮すべき情状があることを示す証拠を豊富に裁判所に提出することがポイントとなります。情状が良いことを示すためにはどんなことをすればいいのか解説します。

被害者がいる場合は示談や被害弁償をする

被害者がいる事件では、示談が成立して被害弁償が済むと被告人の情状が良くなり、執行猶予が付くためのポイントとなるケースも少なくありません。

被害者が示談に応じてくれないケースもありますが、弁護士に依頼して粘り強く交渉を試みましょう。また、被害額の全額を弁償することが難しくても被害金の一部を支払うなど、償いの姿勢を示すことが大切です。

示談を成立させるためのポイントや交渉の流れなどについては「示談が成立したらどうなる?流れや成立しない場合についても解説」もご覧ください。

また、示談金の相場については「刑事事件の犯罪別の示談金の相場とは?自分で示談交渉はできる?」で解説しています。

反省と更生の姿勢を示す

被告人本人が深く反省している態度を示すこともポイントです。法廷で心からの反省や被害者への謝罪の気持ちを述べたり、反省文を書いたりすることなどが考えられます。

どのように反省の態度を示し証拠に残すべきかは弁護士と相談しましょう。

再犯の可能性がないことを示す

例えば、同居家族などに日常的に行動を監督してもらったり、犯罪のきっかけとなった人間関係や環境から完全に離れたりするなどして、再犯の可能性がないことを示すことも重要です。薬物に関する犯罪であれば、すでに専門機関へ入通院して治療に着手していることなどもポイントとなるでしょう。

再犯の可能性がないことを示すためには個別のケースに応じた対応が必要となるため、弁護士と相談しながら進めることをおすすめします。

良い情状を的確に示す

執行猶予を与えるだけの情状が豊富にあるということを裁判官に納得させるために、的確に主張して証拠を示していく必要があります。ここまでご紹介したポイントのほかに、初犯であることや犯行態様が悪質ではないこと、更生の可能性が高いこと、日常では真面目に生活を送っていることなど、良い情状をできるだけ多く示して執行猶予獲得に向けた主張をしていきます。

弁護士に依頼する

このような主張や立証を的確に行うためには、弁護士に依頼することが重要です。裁判の時に十分な証拠とともに主張を行うには、時間をかけて示談交渉をしたり入通院の期間や回数を十分に確保したりと、前もって準備をしておく必要があります。執行猶予を獲得するためにはなるべく早い段階から弁護士に相談・依頼することをおすすめいたします。

刑事事件の弁護士の選任方法には3つの種類があります。その中でも私選弁護士をおすすめする理由については「家族や夫・妻が逮捕された直後にすべきことは?リミットは72時間」をご覧ください。

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弁護士 中島康雄

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